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CEKAIに聞く、「ゆるやかに横断する、チームづくり」 【前編】

世界株式会社

「CEKAIという箱を使い、熱量のあるものを作りたい」。こう話すのは世界株式会社(CEKAI)の井口皓太。彼はBAUSのクリエイティブディレクターでもある。同社には現在、さまざまな肩書きをもったクリエイターが在籍。会社や組織を横断しながら、新しい働き方を実践するメンバーが集う。井口の言葉を借りるなら、「メンバーは公称20~30人。声をかけ、賛同してくれたのは100人(笑)」。NIKEを代表格に、ナショナルブランドとプロジェクトを進めるCEKAI流のチームづくりとは? インタビュー前編では、CEKAIが実践するチームづくりについて聞いた。

ーーCEKAIの成り立ちについて聞かせてください。 

美大在学中に、仲間を集めて「TYMOTE」というクリエイティブチームを作りました。メンバーが各々、映像やグラフィック、サウンドデザインなど得意分野をもった会社で、今年で10年目になります。技術的なチャレンジを含め、メンバー間で密度の高いコミュニケーションをしてきたことが財産です。他方、自分たちが作ってきた“TYMOTEらしさ”に縛られているような感覚を抱くようになったのも事実です。「もっと多くのクリエイターやアーティストと繋がりたい」。こんな気持ちと改めて対峙し、その答えとしたのがCEKAIです。

設立はいまから4年前。いまCEKAIには、新しい働き方を実践する人たちが集っています。ミュージシャンもいれば、プロダクトデザイナーもいる。メンバーになれる人の条件は、それぞれの領域の解像度をあげていくことを当たり前にやる人。そしてその言語を、違う領域に届けよう、繋げようという意識をもっている人です。共創したほうが楽しいし、表現の可能性も広がっていきますから。

 

ーー普段、どんなプロセスを踏み、チームづくりをしていますか?

CEKAIのメンバー内で共有していることは3つ。プロジェクトを持ち込むこと、プロジェクトに参加すること。そしてメンバーを誘うことです。その都度、プロジェクト単位でチームを作ります。関係はいつだってフラット。風通しのいい関係性なので、お互いに産みの苦しみを味わいつつも、熱量を込めて仕事できているはず。たぶん思うに健康的です(笑)。

それぞれの領域を厭わない。こんなスタンスもCEKAIらしいと思います。以前、伝統工芸にフィーチャーしたブランドムービーを作ったんですが、プロダクトデザイナーに映像ディレクターをお願いしたんです。なぜか。この案件の場合、プロダクトデザイナーの視点で工芸品を撮ったほうが絶対にいいものになるからです。大切なのは解像度の高さ。それにほら、こういうチームづくりって面白いじゃないですか。僕自身、クリエイティブディレクターとして仕事をする時は、「この人とあの人が組み合わさったら、どんな表現になるんだろう?」と考え抜くし、そこを想像することが最初のクリエイティブな気がしています。

 

ーーチームによるものづくり。プロジェクト始動中、気をつけていることを聞かせてください。

僕はもともと、グラフィックデザインをしていて。だから、モーショングラフィックにした時に、グラフィックデザイナーが何をどう動かされたら気持ちいいとか、なんとなく分かるんです。たぶん思うに、目に見えない彼らのデザイン意図を見ているんだと思います。つまり何が言いたいかといえば、作り手が言語化できないメッセージを汲み取ったり、それをさらに拡張するために、領域を横断する翻訳力が必要なんだと思っています。カッティングエッジなクリエイターが集まり、彼ら自身が言語をまたいていけば、大きなエネルギーを生み、社会を大きく変えると信じています。

PROFILE

世界株式会社(CEKAI)

2013年、設立。会社や所属の枠を越えたクリエイターやマネージャーが共鳴する場を創り、自社発信のデザインワークを行なう。クリエイティブアソシエーションを標榜。グラフィックデザイナーや映像ディレクター、プロダクトデザイナー、プログラマー、ミュージシャンほか、多種多様なクリエイターが在籍。

写真・下屋敷和文 編集/文・紺谷宏之

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