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プロデューサー対談、「クロスオーバーする、ものづくり」【後編】

TOKYO × AID-DCC

語り口は、いたって穏やか。しかし時折、会話にハッとさせられる。「ほどほどじゃ、やっぱり駄目」。こんな風に口を揃えるのは、「TOKYO」の武井寿幸さん(写真・右)と「AID-DCC」の山中雄介さん(同・左)。ふたりの肩書きはプロデューサー。国内外のクリエイティブアワードで多くの受賞歴をもつ制作会社に所属中だ。「僕からみて、山中くんがすごいなと思うところは……」。対談中、武井さんがこう話しはじめると、「人が集まる飲み会でよく見かけることですか?(笑)」と山中さん。「それもあるね(笑)」とした上で、「ウェブ含めたデジタルの領域は勿論、きちんと映像のことも理解していて、それをプロデュースもできるところ」と武井さん。得意な領域は違えども、お互いの仕事ぶりを知る仲なのである。そして今、両氏は謙遜することしきりだが、クリエイティブの分かるプロデューサーとして注目の最中にある。インタビュー後編では、プロデューサー視点の「クロスオーバーする、ものづくり」について聞いた。

ーーお互いの仕事ぶりを知る、武井さんと山中さん。それぞれ、どんな部分を評価していますか?

武井(TOKYO):山中くんって、昔ながらの良い意味での暑苦しさを持ってる人だよね。どこの飲み会にも、いっぱい人が集まるようなパーティーでも必ず会うし(笑)。年下なのに「すごくプロデューサーらしい人だな!」って勝手に好感持っていました(笑)。日々忙しいだろうし、出来そうで出来ないことなんじゃないでしょうか。

山中(AID-DCC):“つながり”と“知ること”が大事だと思っていて、デジタル領域にいる自分としては、他領域の第一線で活躍されている武井さんにすごく興味がありました。いろいろなところで、誰がイケてるか話を聞いた時に武井さんの名前は出てきますし。それに加えて、第一線でやってないとわからないことも見えないことも積み重ねてきたナレッジがあると思っていて。大事にしていることも知りたいですし、ものづくりに対する姿勢も学びたいわけです。「どうやったら一緒に仕事ができるんだろう」——。こんな風に考えて、こっち側からコミュニケーションしていったほうが、「僕自身、得だな」と思って。そういう繋がりを大切にしていたからこそ出会えて、レッドブル × 水曜日のカンパネラ「チュパガブラ」のMVをお願いすることができました。

武井:得意な領域はあるにせよ、自分はウェブの人間、自分は映像の人間って決めちゃうのは、もったいないとぼくも思っていて。踏み込みたいっていう情熱で動き続けている山中くんは稀有な人だよね。でも、正しいと思う。きちんとコミュニケーションを図ることができれば、お互いのナレッジを共有しながら面白い作品が作れるわけだから。声をかけてくれた時、すごく嬉しかったな。「やっとお願いできそうな仕事ができました」って。いやいや、「むしろありがとうございます!」って感じですよ!

ーー「AID-DCC」の山中さんと「TOKYO」の武井さんの共作だったんですね。

山中:もともとレッドブルさんが、「水曜日のカンパネラ」とタイアップをすることになったので、ライブ演出の相談をいただいたんです。レッドブルさんとコムアイさんと一緒に打ち合わせをするタイミングで、僕たちはライブ演出のプランを持っていったんです。実際にコムアイさんと話していき、MVを作る方向に話がまとまっていったんです。ブレストの中で、コムアイさんから“デコトラ”というワードがでてきて。ここに着想を得て、武井さんに連絡したんです。

武井:山中くん自身は、MVに先駆けて公開した特設サイトやキーヴィジュアルなど、プロモーション全体のプロデューサーでしたね。僕らTOKYOチームはMV担当。ウェブでの公開だったので、テレビCMよりも作品としての自由度が高く、楽しみながら制作させてもらいました。付け加えると、僕自身がもともと大のデコトラ好きなんで(笑)。弊社の北田一真に監督をお願いして独特な世界観の作品になりました。

山中:お願いしたとはいえ、武井さんに完全に任せっきりなるのは違うので、僕自身、企画会議を含めて全ての打ち合わせに参加し一緒に企画をブラッシュアップしていきました。ちなみに楽曲タイトルの「チュパカブラ」とは、南米で目撃される吸血UMA(未確認動物)のことで、MVではピンク色の血液を吸われてチュパカブラ化するコムアイさん、デコトラが闇夜を疾走するシーンなどが観れます。ぜひ、多くの皆さんに観てほしいです。

 

ーー今後、挑戦してみたいことなどあれば、お聞かせください。

武井:まだまだ映像で他のメディアと絡めてやってみたいこと、たくさんあるんです。そういうのをまた山中くんたちのような気の合う仲間たちで作っていきたいですね。僕個人の、チームにとっての、名刺代わりになるような、みんなの記憶にきちんと残るようなそんな作品を作っていきたいです。

山中:体験を拡張するためのデジタルというところを追求していきたいです。あとは、広告プロデューサー自体の価値も社会的に上げていくという壮大なミッションを勝手に掲げてます(笑)。テレビや映画、アニメなどのコンテンツ側のプロデューサーは知られているけど、広告のプロデューサーはまだまだ知られてない。別に有名人になろうとかそういう話ではなくて、価値認識が他の業界のプロデューサーに比べて低いと思うので。武井さん、また次もよろしくお願いします。

PROFILE

TOKYO | 太陽企画株式会社

東京を拠点に企画・演出・撮影・CG・編集、そしてクリエイティブディレクションに至る、すべてのプロセスを一貫として担うことのできる、世界で活躍する全く新しい、エッジの際立つ最先端のクリエイティブプロダクション。CANNES LIONS Grand Prix、CLIO Grand Prix、メディア芸術祭 Grand Prix、ACC GOLD他、国内外の広告賞で数多くの賞に輝くなど、確かな実績・経験をもとに、世界に通じる高度な映像表現を発信し続ける。

PROFILE

株式会社エイド・ディーシーシー(AID-DCC)

2004年設立のインタラクティブクリエイティブ・プロダクション。企業や社会の「aid=助力」になるべく、ウェブとインタラクティブの分野を中心に多岐にわたる領域・表現・技術で数多くの仕事を手がける。“複雑に変化し続ける世界”を見据え、その中で生まれるさまざまな課題の解決を目指し、既成概念にとらわれないクリエイティブのかたちを追求する。Cannes Lions8年連続受賞、他にも国内外のクリエイティブアワードの受賞歴多数。

写真・柳詰有香 編集/文・紺谷宏之

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