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デザインの極北を越えていく。「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」をレポート!

高い、デカい、ありえない!常識の臨界点を突破したアートに触れる。

2017年6月23日から、21_21 DESIGN SIGHTにて企画展「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」が開催。驚きが詰まった展覧会の様子をレポートします。 六本木のド真ん中で、ひときわ目立つオレンジの看板。「そこまでやるか」というタイトルに、思わず目を奪われてしまいます。この展覧会に集まっているのは、規格外の規模で作られたダイナミックな作品たち。いったい何を「そこまでやっている」のか?会場に足を踏み入れて、その答えを探してみましょう。

フローティング・ピアーズ、イタリア・イセオ湖、2014-16でのクリスト(photo: Wolfgang Volz)@ Christo

私たちは、この展覧会で最初に展示されている作品を鑑賞することができません。展示されているのは、クリストとジャンヌ=クロード《フローティング・ピアーズ、イタリア・イセオ湖、2014-16》。

なぜ鑑賞できないのか?それは、この作品があまりにも大きすぎるからです。イタリアのイセオ湖に渡されたのは、100,000㎡の布。巨大な布によって覆われた湖は、私たちが想像したこともないような姿へと変貌します。展示されているのは、クリストとジャンヌ=クロードがこのプロジェクトを実現させるまでに必要とした計画の「蓄積」なのです。会場に集められたさまざまなデータや撮りおろしのドキュメンタリー映像を見れば、巨大な布で場所そのものを覆ってしまうという規格外の構想を実現させるために、何十年もの月日が費やされてきたことがわかるでしょう。会場には、現在進行中のプロジェクト《マスタバ、アラブ首長国連邦のプロジェクト》の記録も。

クリスト「マスタバ、アラブ首長国連邦のプロジェクト」2枚組のドローイング(2012年)@Christo

彫刻、建築、絵画…。作品の枠組みを軽々と飛び越えて。

次のギャラリーに入ると、まず目に飛び込んでくるのがヌーメン/フォー・ユースの《テープ・トウキョウ02》。

ヌーメン/フォー・ユース《テープ・トウキョウ02》は、抜群のインパクト(撮影:齋木優城)

巨大な半透明の物体が展示室を横断しています。《テープ・トウキョウ02》は、21_21 DESIGN SIGHTの空間に合わせて作られた最新作。タイトル通り、半透明の物体は会場にテープを張り巡らせて作られています。この奇妙な形は、ダンサーが柱の間を移動するパフォーマンスに着想を得て生み出されました。半透明のテープは無機的なものに見えながら、人間の動きそのものを可視化する有機的なものでもあるといえるでしょう。

しかし、驚くのはその大きさだけではありません。なんとこの作品、実際に中に入ることができます。靴を脱いで足を踏み入れると、今までに体験したことがない不思議な身体感覚が鑑賞者をおそいます。この作品は、鑑賞者が中に入ることによって彫刻から建築へとその表情を変えるのです。

 

ヌーメン/フォー・ユースの作品を体験したあと、私たちは再び巨大な絵画作品に対峙します。展示室奥の壁一面に描かれているのは、淺井裕介《土の旅》(2017)。動植物が重なり合っているようにも見える作品は、近くで見るとその画材に驚かされます。淺井の作品の最大の特徴は、画材としてその土地の土や泥を用いていること。《土の旅》は、以前ヴァンジ彫刻庭園美術館で制作した作品を21_21 DESIGN SIGHTに合わせて再構成したもの。今回の作品には、東京ミッドタウン内で採取した土が使用されています。

「その場所その場所でその場所に即した形、植物が育っていくように筆を入れていく」と語る淺井。以前の作品を大幅に再構成したことについては、「とにかく僕は、絵を描き続けたいという気持ちがすごく強くあるんです」と述べました。過去の作品を新たな土地の素材を使って再構成することで、淺井の作品は生まれ変わり、生き続けるのです。

淺井裕介《土の旅》(撮影:木奥恵三)

この展示室には、ほかにも、中国山東省に幅1.35m×高さ45mの教会を建築する石上純也のプロジェクト《Church of The Valley》や、東日本大震災をきっかけに生まれた領域横断的なコンサートホール《ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ》の様子など、既存のアートの領域にとらわれない作品が多数展示されています。

 

空間そのものを変容させる。21_21でしか見られない、緻密すぎるインスタレーション。

ダニ・カラヴァンは、長さ3キロにおよぶ《大都市軸》、《ネゲヴ記念碑》のプロセスを紹介しています。通路を抜けると、幾何学的な立体作品が展示されていることに気がつきます。この作品は、ジョルジュ・ルース《トウキョウ 2017》。この展覧会のために制作された最新作です。

《トウキョウ 2017》は、鑑賞にコツが必要。床の指定された場所に立ち、片目をつぶって作品を見てください。白い木材の立体が、完全な円形となって鑑賞者の視界に立ちあらわれます。この鑑賞体験は、ほかの角度からでは成立しません。ルースは、1°の狂いも許されない設計によって、その空間の意味を変容させます。

ルースは、自らの作品について以下のように語ります。
「私の仕事には2つの特徴があります。1つ目は、作品を作るときに彫刻・建築・写真という複数のアートを使うことです。もうひとつの特徴は、1枚の写真の中で過去と未来が交わることです。多くの場合、私は、これから消えていく場所を作り変え、その場所を写真によって記憶させるという仕事をしています。私の目的は、その建築のもう一つの解釈を可視化するということなのです」

ジョルジュ・ルース「トウキョウ 2017」@ Georges Rousse

ギャラリーがカプセルホテルに変身!?

想像を絶するスケールの作品に触れたあとは、新しくオープンしたギャラリー3を訪れてみましょう。

ギャラリー1、2と同様、安藤忠雄が手がけたギャラリー3は、もとはレストラン。本展の会期中は、日本とドイツを拠点に活動するアーティスト、西野達の《カプセルホテル21》が展示されています。
ギャラリー3を外から見ると、窓から見える枕や布団にびっくり。なんと、西野はこのギャラリーまるまる1棟をカプセルホテルに作り変えてしまったのです。

西野達《カプセルホテル21》(撮影:木奥恵三)

洗練されたカルチャーの象徴としての美術館と、狭くて現代的なカプセルホテル。常識的に考えればミスマッチな2つの建物が、大胆な発想によって1つの作品へと変化します。私たちが持っている既存の概念を軽々と飛び越えて生み出された未来のカプセルホテル。普段見られない、バックヤードのキッチンがホテルに欠かせないシャワールームに改造されるなど、繊細な工夫があちこちに見られます。「日本は規制が厳しく、こういったインスタレーションを行うことは難しい」と語る西野。常識を覆すことの難しさと面白さを感じる言葉です。

驚くべきは、会期中、実際にこの作品に夜間滞在して作品を体験できるということ。7月14日、28日の21:30~翌8:30まで、インスタレーション内に夜間滞在することができます(14日の申し込みは終了、28日の申し込みは18日まで。抽選、詳細は公式ホームページにて)。

ただ見るだけではなく、実際に作品を体験することによって、従来の美術館とは一線を画した鑑賞体験ができます。

 

こだわり抜いたオフィシャルグッズも「そこまでやるか」!

これまでの常識を覆す、衝撃的な作品がいっぱいの本展。ショップスペースで販売されているグッズにも、「そこまでやるか」と唸るこだわりが隠されています。
展覧会出版物は、よくある製本された分厚い図録ではなく、まるでポスターのようなA2判。未公開画像を含む貴重な画像に加え、各作家からのメッセージを収録しています。
また、オリジナル・グッズとしてノートとメモパッドを販売。ノートは規格外の大きさ、メモパッドは規格外の小ささに仕上げられています。「ふだん」と違う大きさの文房具は、自分が書いた字や絵のスケールそのものが変わったような錯覚を私たちに与えてくれます。こちらも、21_21 DESIGN SIGHTのショップスペースで購入することが可能です。

これまでの美術館の鑑賞体験をひっくり返す「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」。驚きの体験は10月1日まで、ぜひ21_21 DESIGN SIGHTに足を運んでみてください。

 

 

[イベント情報]

日時:2017年6月23日(金) – 10月1日(日)
開館時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日
入場料:一般 ¥1,100、大学生 ¥800、高校生 ¥500、中学生以下無料
場所:21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン)

文・齋木優城 編集・上野なつみ

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