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始動! MONDO GROSSO HACK

エイベックス・エンタテインメント株式会社

大沢伸一による“伝説のソロプロジェクト”MONDO GROSSO(モンド・グロッソ)が再び、始動。今年6月、こんな吉報が舞いこみ、心踊らせた音楽リスナーは少なくないはずだ。5thアルバム『Next Wave』以来、じつに14年ぶりとなるオリジナルアルバムのリリースであった。『何度でも新しく生まれる』と名づけられた同アルバムは、MONDO GROSSO史上初となる“全曲日本語ボーカル曲”。bird、UAとのコンビ復活、元THE BOOMの宮沢和史が歌詞を書き、INO hidefumiをボーカリストとして起用した楽曲など、骨太な仕掛けが満載。先行配信した新曲『ラビリンス』ではボーカリストとして満島ひかりを起用。彼女が出演するミュージックビデオは話題を呼び、「FUJI ROCK FESTIVAL’17」にもサプライズ出演。多くの音楽ファンを沸かせたばかりだ。「僕自身が普段そうであるように、作った楽曲はすべて、聞き手である皆さんに自由に捉えてもらえれば幸いです」と大沢さん。MONDO GROSSOの現在地とは? インタビューでは、アルバム『何度でも新しく生まれる』の秘話、「 MONDO GROSSO HACK PROJECT」について聞いた。

ーー5thアルバム『Next Wave』以来、14年ぶりにオリジナルアルバム『何度でも新しく生まれる』をリリースしたMONDO GROSSO。なぜ、このタイミングで再始動したのでしょうか?

しかるべき時期が来たのかな。こんな想いでアルバム制作に入りました。言葉にするのは難しいけれど、かといって、今回のために「ゼロから作り上げる」という制作プロセスを踏んでいるわけでもありません。休止していた14年の間、大沢伸一名義で楽曲制作をしていたし、都度、作りためていた楽曲もあります。ひとつ言えることがあるとすれば、“最新が最良”という気持ちで取り組んだことですね。僕自身のさまざまな音楽体験、その蓄積したイメージみたいなものが表出していると思います。具体性をもたせて話すと、メッセージが限定的になるので割愛してもいいですか? リスナーの皆さんそれぞれに、MONDO GROSSOらしさを感じてもらえたら幸いです。好きになるのも嫌いになるのも自由。どんなシチュエーションで聴くのかも自由です。だから、受け止め方は皆さんに委ねたい。音楽って自由なものですから。

 

ーー今回のアルバムではMONDO GROSSO史上初となる“全曲日本語ボーカル曲”です。なぜ、日本語にこだわったのでしょうか?

MONDO GROSSOらしさとはなにか? 多くのリスナーが持ち合わせているイメージがあるとすれば、それを裏切りたいという思いがあったんです。期待に答えたいという気持ちと裏切りたいという思い。そんなことを考えながら、最初に作った曲が『ラビリンス』でした。

 

聴いてもらうとわかりますが、この『ラビリンス』のメロディーはひとつだけです。サビで少しだけ音階が変わるけれど、基本的にはひとつのメロディー。僕自身、変化しつつも、ひとつの世界をずっとループしていくような世界観が好きなんです。この楽曲に合う歌詞世界を考えていた時、「日本語詞が合う」という結論に至って。僕らが普段使っている言葉と、全曲向き合ったらどうなるんだろう? こんな思いからすべての楽曲を日本語ボーカル曲にすることにしたんです。リリックは日本語ですが、現在の日本の音楽シーンのことは意識しないようなバランス感覚をもって。

ーー本作の特長は、birdやUAといったMONDO GROSSO/大沢伸一と縁のある名前から、新進のKick a Showや二神アンヌ、意外性のあるところでは齋藤飛鳥(乃木坂46)をボーカリストに起用するなど、色とりどりの参加アーティストにもあります。どんな経緯で依頼してきましたか?

本作では、レーベルのディレクターやマネージャーがいろいろなアイデアを出してくれました。僕だけでは思いつかないアーティストも少なくない。結果的にそれが良かったと思っています。基本姿勢は“受け入れる”。例えば、『ラビリンス』のボーカルを担当してもらった、満島ひかりさんもそんなひとりです。彼女はもともと歌を歌っていたけれど、いまは女優に軸足をずらしている人。歌声だけにとどまらない魅力をどう引き出せるか。ちょっと儚げな感じだったり、捉えどころのない感じだったり……いま彼女が輝いているわけを歌手という側面だけでは切り取れないところで表現できたと思います。

 

ーー満島ひかり主演の『ラビリンス』のミュージックビデオは、楽曲と共に、話題の最中にあります。撮影は香港。“ラビリンス=迷宮”を求め、彼女が夜の香港を軽やかに踊り、歌いながら彷徨うストーリーが印象的です。大沢さんはこのムービーにも関わっていますか?

自分のミュージックビデオに対しては、客観的にみれる人に預けることが多いですね。餅は餅屋というか、僕が考えるべきことは音楽なので。自分が生み出した音楽を軸にし、映像の領域までイメージを広げていく作業ってすごく難しいんです。そんな理由から、映像については信頼できる監督やクリエイターにお任せすることがほとんどです。すでに出来上がっている映像に音楽をつけるのは、割と想像がつくのでそういうアプローチには興味があるほうだと思うけれど、音楽から映像という流れになると、お任せします。ゆえ、『ラビリンス』のミュージックビデオも基本はノータッチでした。

いまは、音楽だけでなく映像もセットになった音楽体験が主流になりつつある時代です。個人的には音楽を聴くだけでイマジネーションが広がり、十分ハッピーになれるけれど、テクノロジーとリンクした音楽体験には可能性を感じているほうだと思います。音楽は音楽としての素晴らしさがあるので、逆にいうと、総合芸術として出来上がった素晴らしいものを音楽単体で切り離した時に、どこまで魅力的なものにできるかは、僕たち音楽家に問われているんじゃないかと思います。

ーー今回、BAUS上で「MONDO GROSSO HACK PROJECT」を開催させていただきます。アルバム『何度でも新しく生まれる』のリリースに先駆けて発売された、完全限定生産のアナログ盤および配信EPに収録中の『ラビリンス(DUBFORCE Mix)』に着想を得て、BAUS上のクリエイターにコンテスト形式でミュージックビデオ(30秒ver.)を制作してもらいます。このプロジェクトについて思うところをお聞かせください。

すでにお話したとおり、自分が手がけた音楽を軸にし、映像表現を考えることが得意なほうではありません。ですから、『ラビリンス(DUBFORCE Mix)』に着想を得て、好きなように映像を作ってもらえればと思います。ひとつだけリクエストがあるとすれば、枠をはみ出すようなクリエイティブに期待させてください。ところで、普通じゃないアプローチってどんな感じなんだろう(笑)

PROFILE

MONDO GROSSO ( モンド・グロッソ )

91 年に京都でバンド結成。大沢伸一はリーダー兼ベーシスト。93 年にメジャー・デビュー、世界標準のアシッド・ジャズ・バンドとしてヨーロッパツアーも行う。 96 年にバンドは解散し、大沢伸一が楽曲によって様々なアーティストをフィーチャリングするソロ・プロジェクトとなる。 以降もその時代時代の革新的な音楽性を求めながら、「LIFE feat. bird」を収録した『MG4』、「Everything Needs Love feat. BoA」を収録した『NEXT WAVE』などヒット・アルバムをリリースして2003 年に休止。今年、満島ひかりをボーカルに迎えたシングル「ラビリンス」を皮切りに14年ぶりに再始動。6/7には全曲日本語ボーカルアルバム『何度でも新しく生まれる』をリリース。現在、話題の最中にある。

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