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第3の波、現る! 「デジタル時代のボーダレスな仕事術」

BEES&HONEY × STUDIO DETAILS × UNIEL

「3人の共通点ですか、なんでしょうかね?」。開口一番、顔を見合わせながらこう話すのは、「BEES&HONEY」の今村玄紀さん(写真・中)、「STUDIO DETAILS」の海部洋さん(同・左)、「UNIEL」の野田一輝さん(同・右)。彼ら3人は一国一城の主。各人、若きCEOである。ウェブ制作の全領域に強みをもちながら、ブランドコンサルティングやプランニングの領域にも踏む込み、クライアントと距離の近いところで数々のプロジェクトを進めている最中にある。制作プロセスに違いはあれど、3社ともにきちんと企業やブランドの本質を読み解いた上で、強みを活かした「最適なソリューション」を提供中だ。実力も折り紙つき。インタビュー中、この話にはならなかったが、海外のクリエイティブアワードの受賞歴もある。「僕らに共通点があるとすれば、野心的なところ?」と海部さんが話すと、「攻めの姿勢って大切。戦略的に泥臭く動き続けたい」と今村さん。このやりとりを聞いていた野田さんも、「やれることは全てやる。粘り強さで勝負したい」と続く。旧知の仲ということもあって、インタビュー中は終始、和やかな雰囲気。しかし時折、会話の内容、そのやりとりにハッとさせられる。本稿では、いま時代の波に乗り、界隈で注目を集める3社の、ビジネスマインドとボーダレスな仕事術に迫った。

ーー会社の強みはどんなところにありますか? 実際に手がけたプロジェクトを例にし、それぞれ、お聞かせください。

今村さん(BEES&HONEY):経営者や関係各社へのインタビュー、ワークショップなどの企業分析や、競合分析や顧客分析など、時間をかけた粒度の細かい調査で企業やブランドの「本質的な強み」を導きだしていける力だと思います。企業ブランドの理念やビジョン・イデオロギーを再定義する「MI(マインド・アイデンティティ)設計」から任していただくことが多いので、企業ブランドパーソナリティを可視化する……ロゴやシンボルのデザイン、キービジュアルの・撮影・ブランドサイトの設計・デザインなどの「VI(ビジュアル・アイデンティティ)」、メインコピーやタグラインなどの「VI(バーバル・アイデンティティ)」、行動指針や規律などの「BI(ビヘイビア・アイデンティティ)」、戦略的方向性である「SI(ストラテジック・アイデンティティ)」などの「CI(コーポレート・アイデンティティ)」を定めてからプロジェクトを進めることがほとんどです。デザインを使ってビジネスコンサルティングをする会社。こんなイメージが近いかもしれません。

海部さん(STUDIO DETAILS):BEES&HONEYさんって、ヴィジュアルを格好よく見せるのが上手だよね。考える余白のあるクリエイティブが得意だと思う。いい意味でぶっ飛んでる時があって(笑)。でも実は、きちんとインナーブランディングした上で、クリエイティブワークをしていて。

今村さん(BEES&HONEY):「FIL」プロジェクトでは、熊本県阿蘇郡南小国町で林業を営む会社の新規ブランドの戦略策定、社会や地域、顧客に対してのコミュニケーション設計、プロジェクトチームの設計とブランド全体の統括などを担当いたしました。本プロジェクトでは現地視察から合わせると計100時間以上、調査やお客さんとのワークショップに費やし、合計300枚以上の戦略資料の制作に工数を使っています。ブランドサイトはGarden Eightさんに、家具や内装はCanuchさんに依頼するなど、今話題の企業さんと一緒に仕事ができたのも、とても貴重な経験でした。

FILのコンセプトでもある深いつながりの強さを表現したヴィジュアル
Canuch Incによってデザインされた杉を使ったファーニチャーライン
商品企画・パッケージデザイン・グラフィックデザインなども担当

「FIL」のプロジェクトでは、美しい景観を保つために丁寧に手入れされた阿蘇の自然、訪れた人々を優しく迎えいれてくれる温かい心など「自然と人・人と人」の深く強いつながりを重んじる文化・価値観を「Fulfilling life = 満ち溢れる人生」というコンセプトに落とし込み、「人とモノ」の関係においても末長く愛用でき、かつ深くて強いつながりを持てるような商品を作っていこうという想いを込めてブランドを構築していきました。キービジュアルは、南小国で感じられる四季の暗黙知を、「人と人」「人とモノ」「人と自然」のつながりを比喩的に表現しております。混沌と構造、論理と情緒、破壊と創造、

アートとサイエンスなど、二律背反にある思考を調和させ、その曖昧な部分をヴィジュアルとして表現し、受け手の皆さんに正しさと一緒に「楽しさ」を感じてもらうことがビジネス業界におけるBEES&HONEYの使命だと思っています。

海部さん(STUDIO DETAILS):うちの会社の強みは、BEES&HONEYさんとは対照的かも。最終的には競合分析や顧客分析もするけど、STUDIO DETAILSの場合、企業であれブランドであれ、最初の段階で「こういうの、作ってみました!」と提案することが多いっていう。とりあえず、まずはクライアントにクリエイティブの方向性を見せ、そこから話し合って、何を作るのか決めていくイメージが近いです。そのほうが僕らの場合、経験上、建設的に話が進んでいくんだよね。

野田さん(UNIEL):過去に1ヵ月ほど、名古屋のSTUDIO DETAILSさんでオフィスをお借りしていた時期があって。その際に感じたのは、グラフィックデザインを軸にし、前に進んでいける“地肩の強さ”。グラフィックをベースに、ウェブ制作の全領域に携わり、空間、パッケージ、カタログも全て行なう。そういった守備範囲の広さに驚きました。しかもデザイナーさんが皆、イキイキしてるっていう。

今村さん(BEES&HONEY):STUDIO DETAILSさんは、人々が「それいいね!」と思えるような本質的な「楽しい」部分を前面に押し出している会社さんなのだと思っています。でもその方が、結局「正しい」設計する会社よりも格段に結果が出る。なぜかといえば、人間の心理を追求した、ものづくりが強みな会社さんだから。

海部さん(STUDIO DETAILS):うちはたぶん、ものづくりという意味でいうとお手製が多い。例えば東京オフィスを構えるにあたり、そのアナウンス用のLPを作ったんですけど、うちのデザイナーの子が全て手書きでメンバーの似顔絵を一筆書きで描いて。しかも、それをデジタル的な仕掛けも施してくれたんです。

クライアントワークでも、一事が万事こんな調子。きちんと事業理解をするように努めるけど、結局、あまり事業の本質と関係のない面白みを放り込んでしまうことが多々(笑)。もちろんお固い仕事もやっているけれど。もうひとつ強みがあるとすれば、野田さんが言ってくれたように“守備範囲の広さ”かもしれません。ウェブやってカタログやって、VR領域にも踏み込み、展示会のディレクションも担当。最新のテクノロジーを扱うスタートアップ企業と仕事することも多くて。この10年で、名古屋でできる仕事はひとしきり全部やってこれたと思います。そして今年5月、「名古屋以上のクリエイティブ集団を東京で創る」を目標に掲げ、東京オフィスを開設。舞台を東京に広げ、次のチャレンジをしている最中にあります。

野田さん(UNIEL):こうやって改めて話をすると、会社のカラーってくっきり色分けされますね。うちの会社、UNIELの強みはなんだろう? クライアントに寄り添い、ストーリーを重視した課題解決のための設計に尽力していることでしょうか。

海部さん(STUDIO DETAILS):野田くんとは一緒にプロジェクトを進めたことがあるけど、UNIELの仕事の緻密さ、丁寧さには毎回、目を見張るものがある。BEES&HONEYさんもSTUDIO DETAILSも、中長期的な視点でクライアントとコミュニケーションを図っているほうだと思うけど、UNIELの場合、そのロードマップが僕ら以上に長そうですね。

野田さん(UNIEL):よくご存じですね(笑)。現時点でいくつかの企業のインターナルブランディングを温めているものがあります。ほとんどの企業が会社を設立してからのお付き合いです。例ではAMG Solution inc.なのですが、社内や外部の顧客の方々へのインタビューや、社員旅行に参加させていただき、旅先でしか引き出せない声に耳を傾けたりと、2年以上のお付き合いからエクスターナルブランディングに落としていくこともあります。CI構築やVI構築などのお仕事でも深度によって内容が異なるので、どの企業さんとも密な関係性を構築するようにしています。ブランディングに紐づく仕様書も日増しに厚くなっています。この仕様書をもとにアプローチ施策を練り、戦略に応じてコーポレートサイトのリニューアルを提案したり、ブランドブックを制作したり、新たに採用サイトを作ったり。アプローチによって一番有効な手段が弊社でなければ、信頼できる制作会社さんをご紹介します。

現在、進行中のAMG Solution inc.ポスターのビジュアルイメージ
AMG Solution inc. 採用サイトでは、ターゲット以外にも触れられるウェブアプローチを行なう

今村さん(BEES&HONEY):UNIELのいちばんの強みは、野田さん自身ですよね(笑)。僕は、企画に何が重要かといえば、一番は執念だと思っています。相手の話をとことん聞き、考え抜き、作り込む。社員旅行に同席し、インサイトを引き出すなんて、そう簡単にできることじゃありません。UNIELのクリエイティブにはアウトプットに対しての執念が垣間見えます。自らブランディングを行なう日本茶とコーヒーを提供する店「UNI STAND」を社内に併設中とかも含め、素晴らしい。

 

ーーお話を聞き、それぞれの会社をリスペクトしていることがよく分かりました。最後にそれぞれ、これから実現したいことをお聞かせください。

今村さん(BEES&HONEY):意外に思うかもしれませんが、デザインコンサルやブランディングから、ちょっと外れたところでも勝負できればと思っています。つまり、もう少しビジネスのほうに寄っていきたくて。デザインを使ってビジネスコンサルティングをするイメージが近いかもしれません。デザインはその使い方次第で、企業の時価総額をジャンプアップさせる可能性を秘めています。このことを伝えるエバンジェリストのような会社に成長していければと考えています。

海部さん(STUDIO DETAILS):うちは東京オフィスを開設したばかりなので、東京での仕事を盛り上げていきたいですね。仕事する領域はなんでもOK。何屋と決めないことを決めた感じです。といいつつ、面白そう、楽しそう、と思えることにどんどん首をつっこんでいきたいです。貪欲ですみません(笑)

野田さん(UNIEL):うちも一緒で、やれることは全てやるスタンスでいきます。自社でプロデュースしたカフェ「UNI STAND」も、しっかりとブランド化し、ショップ展開したら面白そうなので、その取り組みをはじめている最中にあります。今後は、お客様とご一緒させていただいたブランド開発と構築の経験を活かして、歩みは遅くても幅広い動きをしていきたいと思います。

PROFILE

BEES&HONEY

「THINK SENSE. 世界をちょっと、センスよく」をイデオロギーに、企業のブランディング、ブランドコンサルティングに関わるサービスを展開するブランドコンサルティングファーム。パートナー企業の本質的な価値提供を分析し、明確な戦略の方向性を定めた後、独創的なアート表現をもって企業の価値活動を総合的にサポート中。戦略と芸術、両方の要素を兼ね備えたブランド構築に定評。

PROFILE

STUDIO DETAILS 

「いいものを丁寧につくる」「すべて尖る」をミッションに、クライアントと近い距離で、企業の広告活動や商品開発などのクリエイティブ・プロジェクトと、最新テクノロジーを駆使した課題解決のためのシステム開発に尽力するクリエイティブ・プロダクション。企画・ディレクション・設計、デザイン制作・構築、開発・実装まで、すべてグループ会社と連携し、ワンストップで提供中。「名古屋以上のクリエイティブ集団を東京で創る」を目標に掲げ、2017年5月に東京オフィスを開設。新たな挑戦の最中にある。

PROFILE

UNIEL ltd.

デジタルとアナログ、両分野を活かしてブランディングを行なうクリエイティブデザイン集団。全ての人に有効的なアプローチを行なうため、インタビューやヒアリング、ワークショップを通して“内側に秘めているもの”を引き出し、ストーリーを重視した課題解決のための設計を行なう。ウェブを主軸としながらパンフレットや名刺等のグラフィックデザインをはじめ、店舗のサイン、戦略に応じた幅広い設計・デザインを行う。

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