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アーティストユニットmagmaの活動10周年記念展覧会をレポート!

「magma’s ‒magma 10th Anniversary exhibition‒」を作家本人たちがナビゲーション

活動10年目を迎えるアーティストユニット・magmaの展覧会「magma’s ‒magma 10th Anniversary exhibition‒」が、11月5日(日)までラフォーレミュージアム原宿で開催中です。杉山純、宮澤謙一の二人によるアーティストユニットmagma。会場に集結したのは、初期から現在までに制作された立体・平面作品、家具、プロダクトなどのアートワーク・オリジナルワーク、制作風景やスケッチなど、約100点に及びます。今回、magmaの二人のナビゲーションで展覧会を案内してもらいました。

作品になる前の「アイデア」や「素材」

会場に入るとまず目に入るのは、レトロさを感じさせるたくさんの雑貨・ガラクタ。木製のボーリングピン、恐竜のおもちゃ、工事現場の看板、監視カメラのレプリカ、犬の置物。《Collection Area》には、二人が各地で開催される蚤の市に足を運んだり、知人から譲り受けたりして集めてきたコレクションが並びます。

「ここに並んでいるものそれ自体だけではおもしろくはないんです。魅力が欠けている、何かおもしろくしてやるぞ、というものばかりで。作品に生まれ変わる、可能性に満ち溢れているものたちですね」(宮澤謙一)

ジャンルや時代を超えた「物」と「物」とのコラボレーションの繰り返しによって構築される彼らの作品、一見ガラクタにも思えるこうしたコレクションが作品のアイデアとなり素材となるのです。

宮澤のコレクション、「この看板を大量に入手して作品をつくりました」
杉山のコレクション、防犯カメラのおもちゃ「結構いいですよ」

続いて現れるのは《Sketch Area》。「スケッチは、スケッチでしかあらず」と杉山が語る通り、スケッチはあくまでも何かを作るために描いているもの。

「スケッチをもとに作品をかたちづくるときにも、ただの作業にならないように、どこまで良くしていけるかが勝負です」(杉山純)

スケッチの中には、会場に展示されている作品の設計図やエスキースも並びます。アイデアの原点とも言えるスケッチと作品本体を見比べることで、その制作過程を想像することができます。
また、スケッチが展示されている4枚のボードそれぞれには、杉山・宮澤各々のスケッチが分けて展示されており(宮澤:左から1枚目/4枚目、杉山:2枚目/3枚目)、二人それぞれのタッチ、得意分野や世界観の違いを比較してみるのもおもしろいでしょう。

ギャラリーツアーに参加していた少年が「これが好き」と教えてくれたのは、宮澤のロケットのスケッチ

展示を進んでいくと、前半にはそのほかmagmaが制作した歴代のステッカー《Sticker Area》、これまでの展示のフライヤー、長年続けているキーホルダーシリーズ《Key ring Area》、そして、現在はさまざまな店舗やコレクターが所有している家具の《Funiture Area》へと続きます。
なかでも家具のシリーズは、家具やキーホルダーになることで、作品購入には手が届かないという人にも気軽に手に取ってもらえるのではないかと、こっそりと大事に続けられているシリーズです。「使えなければいけないもの」という前提で作られるこれらの家具は、彼らに取っては作品という位置付けとは異なるのです。
実際、magmaの家具やプロダクトはアートに馴染みのない人という人にも手に取って楽しまれていて、magmaに幅広いファンがいることにも頷けます。magmaファンなら「これ持っている!」なんて出会いも隠れているかもしれません。

 

卒業制作をほぼ完全復元

今回の一番の見どころは、なんといっても会場中央にそびえ立ち、音を立てながら奇妙に動く巨大な立体作品《FUTURE SHOCK》です。作品をよく見てみると、人間がロボットに食事を提供、「人がロボット化する」未来を描かれており、ポップな色使いながら、そのロボットたちの表情にはダークさも感じられます。
実はこの作品は、二人が武蔵野美術大学空間演出デザイン学科在学時に卒業制作として発表した作品の復刻版。「この作品をきっかけにつながった仕事も多かったんです」と語られる通り、彼らにとっては、お気に入りの作品であり、そして思い入れのある原点とも言える作品なのです。

《FUTURE SHOCK》

《FUTURE SHOCK》を囲むように、時計を解体してつくったシリーズ、樹脂で描いたペインティングシリーズ、杉山が得意とするニットを使ったシリーズなどの平面作品、2016年茨城で開催されたKENPOKU ART 茨城県北芸術祭に出展した大型の立体作品《GREAT TEACHER》や、閉店したパチンコ屋さんから譲ってもらったというネオンで構成した新作《パチンコFUJI》など、magmaらしい立体作品が一周所狭しと並びます。

キャンバスを床置きし、樹脂を垂らして描く平面作品。中央《GEISHA》、右《壊れかけのCLOCK》。コントロールが敢えて効かないよう、固まりかけの樹脂を使っている。

すっかりmagmaの魅力に浸ったところで、ショップスペースには気軽に購入できるmagmaの作品・グッズが並びます。展覧会図録は、今回クラウドファウンディングで集められた資金でつくられたもの。また、活動をはじめたころから続くキーホルダーのシリーズは、キーホルダーと言えどすべて彼らの手作り、立派な「作品」です。

 

作品の制作エピソードが語られたギャラリーツアー

10月28日(土)に開催されたギャラリーツアー(magma、VOILLD伊勢春日のナビゲート)では、作品それぞれの解説やエピソードが語られたほか、二人で活動しながらもこれまで10年喧嘩をしたことがないという穏やかな関係性も垣間見えました。アーティストユニットとして、二人の息が合い、二人という単位から生みだされる作品の魅力が伝わってくる充実のギャラリーツアーとなりました。

《GREAT TEACHER》、右:《パチンコFUJI》
1時間半以上にわたり、会場を隅から隅までたっぷり語り尽くしました

magma名義で発表される作品は、実際にはどちらかが制作したもの、二人が共同で制作したものがあります。トークショーの進行役VOILLDの伊勢春日は、それぞれの作風について「私の印象では、杉山さんの作品にはちょっと闇がありますよね。それに対して宮澤さんはファンタジー担当です。どちらがつくったか想像しながら作品を見ていくのも楽しいかもしれません」と語ります。

これまでの活動を、作品のみならずその制作過程やアイデアとともに一挙に振り返ることができる本展。完成した作品だけでは知ることのできなかった二人の手仕事や、作品一点一点にかけられる想い・手間・時間を感じることができます。アナログな彼らのものづくりプロセスには、あらゆるクリエイターにとってインスピレーションを掻き立てるものが眠っていそう。今週末、ラフォーレミュージアム原宿に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

 

 

[イベント概要]

日時:2017年10月28日(土) – 11月5日(日)
開館時間: 11:00 – 21:00
会場:ラフォーレミュージアム原宿
チケット:無料
ウェブサイト:http://www.laforet.ne.jp/news_events/429

 

ギャラリーツアー
日時:11/3(金・祝) 18:00〜
出演:magma、伊勢春日(VOILLDディレクター/キュレーター)
参加費:無料
参加方法:どなたでもご参加いただけます。開始時間にロビーにお集まりください。
※混雑状況により入場制限をさせていただく場合がございます。

 

関連インタビュー:「いつか、待ち合わせ場所を作りたい。」ーmagma

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