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19歳の写真家「写真からイメージを拡張する、ADのような存在でありたい」

クマ財団の若き実力者たち #1 写真家 室岡小百合

1998年生まれの室岡小百合さんは、現在大学生であると同時にフォトグラファーでもある。ファッションフォトを中心に、どこか異国の情緒を感じる瞬間をフィルムのやさしい質感で写し出す写真が印象的だ。今回、若きクリエイターを支援する「クマ財団」第1期生のメンバーでもある彼女に、現在のフォトグラファーとしてのあり方、クリエイター同士の協働について話を聞いた。

ーー温かみのあるスナップ写真が印象的ですが、普段はどのような撮影が多いのでしょうか?

室岡さん:お仕事では、ファッションに関連したブランドやメディアの撮影や、アートフォトとしての撮り下ろしをさせていただくことが多いです。自分の作品でもお仕事でも、好きだなと思う生活の中の自然体な仕草、日常のシーンを撮ることを一貫して目指しています。最近は、企画の段階から撮影について一緒に考える機会も増えていて、アートディレクター(以下AD)のような動き方にも興味が出てきています。

ーー撮影以外の領域にも興味があるんですね。ADは、視覚表現全般を総合的に捉える視点があるように思えます。そういった視点を培う場はあるのでしょうか?

室岡さん:美大生ではないので、コレといって視覚表現を学ぶ環境はあまりないのですが、例えば、最近大学のゼミで絵本をつくることがあって、そこで教えてくださっているのがADのえぐちりかさんなんです。えぐちさんと言えば、学生の頃からアーティストとして実績を残し、卒業後には話題の商業広告を数多く手がけた方。えぐちさんがゼミで教えてくださるアイデアを生み出すプロセスは、とても参考になりました。でも、メインのインプット源は、ひたすらに良い建築を観察すること、気になったお店や展示に足を運ぶこと、そしてデザイナーの話を聞きに行くことですね。

 

ーー企画から参加することもあるとのことですが、普段撮影するときはどんなことを考えているのでしょうか?

室岡さん:いろいろな記憶の断片から撮影のイメージを膨らますことが多いです。例えば、撮影までに目にした映画や本の中でどこか引っかかる部分があって、そこから感じる雰囲気や感覚から世界観をつくり上げていきます。今ちょうど読んでいた本は、モンゴメリの『可愛いエミリー』。カーテンのゆらめきについて描写している一文が綺麗で、そういう断片を頭の中に描いてはそのモードのまま撮影に臨むこともあります。

 

ーーイメージのインスピレーションとなっている本もそうですが、室岡さんの写真は異国のような情緒を感じます。

室岡さん:そうですね。外国っぽい、日本じゃないみたい、と言われることが多いです。

ーー室岡さん自身、そういったものに惹かれるのでしょうか?

室岡さん:幼い頃、親に色んな国や都市へ連れ回されていました。今まで見てきた風景が日本のものではないということが、撮っている写真に大きな影響を与えているかもしれません。おそらくきっかけは、16歳の時に1ヶ月間ロンドンに滞在したこと。今まで色んな国へ行っていたけれど、ヨーロッパはあまり行ったことがなく、街並みの美しさやそこに暮らす人々の姿に大きな影響を受けました。月並みな表現ですが‥‥。そのときの印象が、どこかに残っているんだと思います。

ーーフィルムカメラの温かみのある質感も印象的ですが、フィルムで撮影することには何か理由があるのでしょうか? 

室岡さん:フィルムで撮影すると、現像に出して、時間を置いてから改めて撮影した写真を見ることができますよね。そうすると、作品を落ち着いて批評できるので、フィルムを好んで使うことが多いんです。あとは、仕事として写真を撮り始めたばかりの頃は、被写体以外の人が現場にいて、うまくコミュニケーションをとらなければいけないという状況の中で、いつも通りの「自分の色」を維持することに慣れなくて。私は撮影に入ると、自分のイメージする世界観に入り込むので、余計なことに気をとられるのが嫌なんです。フィルムカメラであれば、真っ直ぐに心を向けて被写体とのコミュニケーションに集中できるんです。最近はデジタルでも撮影することが増え、自分の中で何かが変わってきたのかなと思い始めています。

ーー現在、室岡さんはフォトグラファーという肩書きで活動していますが、さまざまなジャンルのクリエイターが集まる「クマ財団」に参加してみていかがでしたか?

室岡さん:ひとつには、作品の講評をしてもらえる機会が増えたこと。一般四大に通っているので、作品について意見をもらえる機会ができたことが嬉しいです。もうひとつは、同世代でたくさんのジャンルのクリエイターに出会えたこと。みんなと交流する中で、例えば、ジュエリーを製作している中村暖くんやテキスタイルデザインを学んでいる松橋修造くんの作品の撮影をすることになるなど、フォトグラファーとしてコラボレーションする機会がいくつか生まれてきています。あとは、参加クリエイターたちが活躍している情報を目にすると、同世代だから気になるし、ちょっと焦りますね(笑)。自分も頑張らなくちゃ、と。

 

ーー最後に、アートディレクター的にさまざまなジャンルにも表現を広げていくうえで、今後やってみたいことはありますか?

室岡さん:ライフワークとして常に写真は撮り続けていくと思うので、写真を中心にしつつ、自分の世界観をより良いものへと突き詰めるために、なるべく広いジャンルに挑戦していきたいです。たとえば、インテリアデザインやプロダクトデザインなど、生活に関わる事柄に日頃から興味があって、もし良いご縁があればそういった分野の方と、ものづくりをしたいです。表面的なものではなくて、人の心に浸透するような、ピュアな心で体現していけたら、と思います。

PROFILE

室岡小百合

1998年神奈川県生まれのフォトグラファー。青山学院大学在学中。高校時代より写真を媒体としてファッションを中心とした撮影を始める。

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