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どうなる、お金!? ミレニアル世代が挑む金融革命

Payme × ONE FINANCIAL × FOLIO

テクノロジーの発達にともない、私たちを取り巻くお金の世界は大きな変化を迎えている。フィンテックやビットコインといったワードが大きな話題を集め、キャッシュレス化も世界的に加速。“これからはお金そのものに価値はなくなっていく”そう予想する動きもある。その一方で、物を現金化するなど、ある意味でレガシーなサービスに注目が集まっているのも事実。持てる者と持たざる者で、お金に対する意識格差は大きく開いている。これから先、お金はどうなっていくのだろうか? それを知るべく3人の挑戦者にお集まりいただいた。Paymeの後藤道輝さん(写真・左)、ONE FINANCIALの山内奏人さん(同・中央)、FOLIOの広野萌さん(同・右)だ。ミレニアル世代と呼ばれる彼らは、若いながらも果敢に日本の金融システムを変えようとしている。その目にはどのような未来が映し出されているのだろうか。

3者3様なお金初体験

——初めてお金を使ったときの記憶ってありますか?

後藤さん(Payme):お金を意識するようになったのは幼稚園の頃です。よくスーパーとかのお菓子コーナーで「これ買って」って親におねだりしたり。現金を初めてもらったのは小学生になってから。お使いのお駄賃に200円とか300円とかもらって『コロコロコミック』を買ってました。

山内さん(ONE FINANCIAL):僕は確か幼稚園のとき。年少で10円、年中で20円と月に決められた額のお小遣いをもらっていました。小学生になって100円とか200円もらえるようになってからは、近所の駄菓子屋でおやつを買い食いしてましたね。

広野さん(FOLIO):それで言うと、うちはお小遣いとかお年玉という制度がなくて。お金と接点を持つようになったのは高校生1年生になってからなんですよ。アルバイトをして稼いだ5万円が初めてのお金。それまでは自分で買い物をしたこともなくて。

 

——えっ! 欲しいものはどうやって手に入れてたんですか?

広野さん(FOLIO):誕生日やクリスマスにプレゼントとして親にもらっていました。だから、何がいくらで売ってるのかもよく知らなくて。高校の3年間でお金の価値を学び、大学生になってようやくまともに買い物ができるようになったんです。

テクノロジーが変えるお金の価値

——みなさんはお金の価値についてどのように考えているのでしょうか。

後藤さん(Payme):自分は中学生くらいからお金=給与だと認識していて。ゴミ捨てや掃除といった労働の対価としてもらえるものだと思っていました。

山内さん(ONE FINANCIAL):「お金儲けって大事ですか?」って聞かれることも多いんですけれど、僕自身は事業を続けるためのリソースだとしか考えていないんです。あと、これは概念の話になってしまうかもしれないのですが、物の価値を別軸で評価するものかなと思います。僕、『TIME/タイム』っていう映画が好きなんですけれど。

 

——ジャスティン・ティンバーレイク主演のSF作品ですね。時間が通貨となった近未来で、人が余命を切り売りして生きているという。

山内さん(ONE FINANCIAL):そういうふうに概念的に考えていくことが増えていく気がするんですよ。VALUとかタイムバンクがそのいい例だと思うんですけれど。これからは、人の1秒とか、等分したときのひとつとかがいくらになるんだろうっていう話になるはず。それによってお金の価値も変わっていくんじゃないですかね。

広野さん(FOLIO):同感です。リンゴが1個100円で売っていたとして、それが100円玉で買えるのはもちろん等価だからなんですけど、その価値って誰かが勝手に決めた形而上のものにすぎない。信用や時間、ひいてはtwitterのフォロワー数が価値になっていろんなものと交換できる時代になってきていますよね。

 

——お金は価値を失っていくのでしょうか?

広野さん(フォリオ):僕は小さい頃からお金に馴染みがなかったので、本来的にはなくてもいいものだと思っているんです。例えば世界に自分ひとりしかいなかったら、お金っていらないじゃないですか。でも社会生活をするうえで、価値の代替物として必要だから存在している。それがテクノロジーの進歩によって別のもので対応できるようになっているので、お金の価値自体も過渡期を迎えているのかな、と。長く続くお金の歴史の中でも、これからの数年がターニングポイントになる気がします。

後藤さん(Payme):それで言うと、今って人・物・金の流動性が加速度的に速くなっていると思うんです。例えばオークションサイトも黎明期の1.0時代にモバオクやヤフオクができて、2.0時代として即時性を掛け合わせたメルカリやフリルが台頭した。それで終わりかなと思っていところに3.0時代として誕生したのが、即金を売りにしたCASH。もはや売買が成立して入金されるまでの時間すらもどかしいっていうところまで、人と物の関係はきています。でも、お金の仕組みだけが50年以上も変わっていないじゃないですか。給料は決まった日にしか振り込まれないとか。それってもう時代に合ってないと思うんですよ。

広野さん(FOLIO):それ、わかる。欲しいときにもらいたいですよね。

後藤さん(Payme):そういう疑問に対して僕なりに出した答えが給与前払いサービスの「Payme」で。働き始めのタイミングってお金がないんですよね、学生とかは特に。でも、給与の入金は1ヶ月後。それに加えて出勤するのに毎回350円とか電車賃がかかる。じゃあ、お金が振り込まれるまではどうやって生活すればいいの? っていう。さまざまなことが多様化した現代では、末締め翌月払いでは遅い。働いた分を自由に引き出せるようになったら、生活が楽しくなるし、チャンスも逃さないじゃないですか。

 

——そういう社会的なシステムに対する疑問がみなさんあるんですか?

山内さん(ONE FINANCIAL):当たり前のことを当たり前にやりたいんですよね。それが技術的に可能になっているからこそ、「人間の営みとは何か?」をもう一度考えて適正化したいなと。僕が今取り組んでいる「ONE PAY」というサービスで実現したいのもそこで。送金サービスって両者がアプリを入れてないと使えないことが多いですけど、それではロスばかり。だから、受け取り側がアプリを入れていればクレジットカードで決済できる仕組みを作ったんです。

——広野さんが携わっている「FOLIO」はいかがですか?

広野さん(FOLIO):うちは社会システムというより、人の生活を変えることに注力しています。戦後の貯蓄文化が続いている日本で、投資は金儲けのためにやるものだと思っている人が多い気がするんです。そうではなく、人を応援する気持ちそのものが投資なんだということを伝えたくて。例えば「この塩、めちゃくちゃうまい!」と思ったときに、関わっている会社すべてを閲覧できて、そこから投資できる仕組みを作りたいんです。それによって、もしかしたら副次的に社会システムが変わるかもしれないですが。

 

——今まで疑問に思っていたけれど誰もやってこなかった。そういうことをテクノロジーの力を使ってスタンダードにしたいという気持ちが強いのでしょうか?

後藤さん(Payme):とはいえ、そんなに革命的なことに挑戦しているつもりはないんです。給与の仕組みを今の時代に合ったフォーマットに最適化しているだけで、やってることは100年前の人たちと同じだと思っています。

広野さん(FOLIO):僕はできるだけお金のことを考えたくないんですよ。煩わしいから。いくら払ったとか、ぶっちゃけどうでもいいというか。

 

——お金をどうやって稼ぐかすら考えたくない?

広野さん(FOLIO):ですね。お金を稼ぐのって本質的じゃないですから。そういうことを考える暇があるのなら、もっと文化的なことに時間を使いたい。だから、将来的にはもうお金とかじゃなくて、スマホをかざしたらピピッと本人確認ができて、信頼を担保に物が買えるようになってたらいいなって。

山内さん(ONE FINANCIAL):確かGoogleが顔認証で決済できるサービスを開発してますけれど、そうやって購買体系が変わってくるんでしょうね。

3人が考える、お金の未来

——これから先、お金はどのようになっていくと思いますか?

後藤さん(Payme):お金の話をするときに難しいのは、富裕層なのか貧困層なのかよって価値が違うことだと思うんです。日常的に現金を持たず、キャッシュレスで生活している人は、お金のことなんてあんまり意識しないじゃないですか。それとは反対に、銀行口座も持ってないし、とにかく現金が欲しいっていう人もいる。それに誰もがキングコングの西野さんみたいにクラウドファンディングでお金を集められるかっていうと、それもちょっとダウトだし。だから僕は、名もない人が声を上げる手段としてお金が存在したらいいなと思っています。

山内さん(ONE FINANCIAL):この前、太宰治の『貧の意地』という本を読んだんです。その話では、お金のない武士が、奥さんのお兄さんからお金を借りてなんとか生活をしていて。今で言うニートですね。でも、周囲からの信頼が厚い。それは事あるごとに周りの人を助けているからなんですけど、それってある意味で資金調達力がすごいあるなって。人間性がお金の役割を果たしている。これからは、そういうこともありだなと思うんです。

広野さん(FOLIO):そういう資金調達力みたいなものも今後は可視化されていくと思うので、新たな概念が生まれるかもしれないですよね。

山内さん(ONE FINANCIAL):理想を言えば、ベーシック・インカムにできればいいんですけどね。石油が掘れる地域の近くに住んでる人って国からお金が分配されるじゃないですか。日本もそういうふうになって、楽しみでお金稼ぎができるようになれば、もっとおもしろい国になる気がします。

PROFILE

Payme(ペイミー)

2017年7月に会社設立。同年11月より給与前払いサービス「Payme」をリリース。若者に親しみやすいUI/UXを売りに導入企業を順調に増やしている。代表の後藤道輝さんは慶應義塾大学総合政策学部卒。East Ventures、メルカリ、CAMPFIREを経て、DeNAに中途入社。DeNA戦略投資推進室での約1年間の勤務後、株式会社ペイミーを起業。給料の自由化を目指している。

PROFILE

ONE FINANCIAL(ワンファイナンシャル)

2016年5月、WALTの社名で創業。2017年9月29日付けでONE FINANCIAL に社名変更。「最もシンプルで便利な決済アプリ」をコンセプトにした「ONE PAY」を提供している。創業者の山内奏人さんは現在16歳。10歳から独学でプログラミングを始め、2012年には「中高生国際Rubyプログラミングコンテスト」の15歳以下の部で最優秀賞を受賞した経歴を持つ。

PROFILE

FOLIO(フォリオ)

2015年12月に創業したオンライン証券会社。「資産運用をバリアフリーに。」というミッションのもと、10万円から投資ができるオンライン証券サービスを提供している。共同創業CDOの広野萌さんは早稲田大学文化構想学部卒。日本最大級のハッカソン「Open Hack Day」最優秀賞受賞を経て、ヤフー株式会社へ入社。同社を退職後はスマートフォンアプリケーションを中心に複数の作品を発表し、「Hack Day Japan 2016」ではグランプリを受賞。

写真・伊藤圭 編集/文・村上広大

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