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「3人の自分がそれぞれクリエイター」22歳が挑戦するウィークリーキャリア

クマ財団の若き実力者たち #5 株式会社DAN NAKAMURA代表 中村暖

自らのファッションブランドを立ち上げ、ジュエリーをはじめとするさまざまなプロダクトをつくり続ける中村暖さん。そのどれもが社会問題を内包し、次なる時代のスタンダードとなるであろう新しい価値観の提案を目指している。しかし、そうしたプロダクト制作は彼の活動のごく一部にすぎない。広告会社でのデザイナーとしての仕事、大学院での学びや個人制作、そしてライブアプリの配信など。領域横断的に活動する彼は、言うなれば「ミレニアルズ」という形容がふさわしい“超現代っ子”的な存在だ。そんな彼が振り返る、自分らしい働き方とそのモチベーションについて聞いた。

ダイヤの原石を見つけ、デザインでモノの価値をあげる

ーー現在進めているプロジェクトについて教えていただけますか?

中村さん:今は“ワニ革の脱皮”をテーマとしたジュエリーやバッグが主なプロダクトです。再生可能素材をデザインしながら制作をしていますので、捨てるという概念はありません。

Photo : Sayuri Murooka

ーー素材から作っているんですね。

中村さん:もともと「捨てられるものに価値を与える」ということを、作品制作を通じて行っていて。ラオスの不発弾をジュエリーに変えたり、渋谷のセンター街に落ちていたタバコの吸殻をシルバーのジュエリーに変えたりしてきました。自分にしか見えないダイヤの原石を見つけて、デザインでモノの価値をあげる。こんなにもやりがいのある仕事はありません。

ーー「モノの価値を上げる」というテーマを一貫して持っている。

中村さん:「すぐに捨てられてしまうスーパーのポリ袋を、世界的高級ブランドレベルの価値に上げられないだろうか」「なぜ最高級のワニ革のバッグでさえ捨てられるのだろうか」、そんな生活の中で目にして生まれた2つの疑問が合わさって、「新しいワニの脱皮」の概念をつくろうと思いました。永遠に自然の美しさを持続させようと。そして、それを身に纏える形にしようと。気づいたら、「モノの価値をあげる」ことに繋がっていました。これからは、新しい可能性や新しい価値をつくり出すエネルギーが、豊かさやラグジュアリーを生み出していくと信じています。

Photo : Sayuri Murooka

「僕一人ではつくれないけど、僕にしかつくれない」

中村さん:でも、僕一人で制作しているわけではありません。大学の先生が僕のデザインのスタイルをまとめてくれたことがあって。それは「僕一人ではつくれないけど、僕にしかつくれない」ということ。

 

ーー中村さんにしかつくれない部分とはどんなところに現れるのでしょう?

中村さん:たとえば、今は平均20.5歳のダンナカムラチームで活動しています。言語チーム、撮影チーム、製造チーム、広告クリエイティブチームの4チームに分かれていて。たとえば、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ウルドゥ語への翻訳ができる「ダンナカムラ言語チーム」がいるからこそ、海外から僕のブランドにアクセスしてもらうことができる。これまでにも、渋谷ヒカリエで開催したファッションショーは、モデルも制作も全員クラスメイトでした。「僕には甘える才能がある!」って言ったら聞こえが悪いけど、こんなふうに、ある時たまたま僕と同じ場を共有していた人たちとの繋がりを大事にして、その一瞬、一瞬をどう見定めて、そこで何をつくることができるのかということをずっと考え続けて、僕がカタチにしていっています。

 

ーー「クマ財団」に応募したのは、新しい繋がりを求めていたから?

中村さん:そうです! 僕はデザインを美大で4年間しか勉強していないので、今までの自分がしてきたインプット以外の他分野を知りたかったということも大きいです。作家やアーティストという言葉よりも、“プレイヤー”という言葉に近いのですが、それぞれの業界で輝くプレイヤーがたくさんいるように思えて。それぞれの輝く場所で作品と一緒に、世界で輝こうとしているU-25のクリエイター集団です!

ーー人を巻き込んでいくことが、中村さんのひとつの制作スタイルになっているんですね。

中村さん:僕はやっぱりいろんな人と関わっていることが強みだと思っていて。そこから刺激を受けてアウトプットに繋げるし、つくったものによってまた新しい繋がりが生まれる。NPOの社会的事業のデザインから、六本木のショーダンサーのデザイン、テニスプレイヤーのデザインまで。その幅が、僕の強みだと思ってます。

 

曜日ごとに違う仕事、「ウィークリーキャリア」

ーー自身のブランド以外の活動もしているんですね。普段どんな働き方をしているのでしょうか?

中村さん:僕は気づいたら「ウィークリーキャリア」という働き方になっていて。月火水はデザイナーとして広告の仕事をして、木金は株式会社DAN NAKAMURAの仕事、土日は大学院に行ってアカデミックなことや個人の作家として制作活動をする、と分けています。

写真・小林真梨子 

ーー実際にやってみてどうですか?

中村さん:時間軸を意識してデザインの制作を考えるようになりました。例えば、広告の仕事であればクライアントがいて、クライアントが決める期日中に制作をする。ダンナカムラブランドの場合は自分たちの会社で期日を決めてそれに向かってつくっていきます。大学院は、勉強や研究を一生するために、通っているので、終わりがなく、永遠にデザインの勉強制作。ちょっとずつですが、それぞれの時間軸でデザインできるようになってきました。疲労も3人分、怒られるのも3人分、嬉しいのも3人分、食べるのも3人分と、濃ゆい毎日です。

 

ーーそのモチベーションはどこから生まれてくるのでしょうか? ひとつずつやることもできると思うのですが、あえて3つ同時にやる理由は?

中村さん:楽しいから! それぞれ全部やりがいを感じているから! あとは応援してくれている人がいること。もちろん1本に絞って修行するという道もあるかもしれないけど、応援してくれる人たちがいるからこそ、3つ同時にできているんだと、今ならはっきりと言える気がするし、だからこそ、今しかできないと思うんです。本当に今、今しかできない僕のスタイルなのです。

PROFILE

中村暖

人間に一番近い空間である「皮膚より0.1mmの空間」をデザインするクリエイター。ジュエリーやバッグなど身につけるカタチの作品を製作する。「素材の透明感、生産工程の透明性、素材をリサイクルして活用し廃棄においても透明にこだわる。人々は世界一透明な作品を身につけ、作品をレンズにして世界を見る。

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