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殻を破り、社会とつながろう。【前編】

武蔵野美術大学 学長・長澤忠徳

「これからの時代、デザインが経済活力の源泉になる」。こんな信念をもち、1980年代後半から“デザイン・コンサルタント”を名乗り、世界と日本をつなぎ、日本のデザインを世界水準に押し上げてきた長澤忠徳さん。同氏は現在、武蔵野美術大学の学長を務め、次代のデザイン人材育成に尽力中だ。インタビュー前編では、美大生や若手クリエイターが持つべき「心構え」について聞いた。

ーー美大生としての4年間。ムサビの学生に限らず、美術・デザインを学ぶ“若きクリエイター”“若き表現者”にどんな力を身につけてほしいですか?

美大で学ぶ4年間は、社会人として必要な基礎を固めていく大切な時間です。創作活動をとおし、造形の深奥に触れ、課題を自ら発見し、ものごとを深く考える力を身につけてほしいと思っています。造形活動に正解はありません。だからこそ、答えのないものを追い求める情熱をもち、思い切って自分の殻を破ることに挑戦してほしい。私たち教員の役目は、その後押しをすることです。

 

「自分のアドレスを持てたんでしょ? どうして名刺を作って工房の看板を掲げないの?」。1年生の授業を受け持つ私は、入学早々、学生たちにこんな風に言います。なぜか。自ら名刺をデザインし、持つことで、クリエイター・表現者として生きていくことを自覚してほしいからです。在学中にやりたいこと、表現したいことが変わっていくのは、しかるべきこと。葛藤は成長の証です。

学びの場は学内だけにとどまりません。名刺を持ち、いろいろな人と出会い、多くの経験をしてほしいと思っています。言葉にするなら、コネクティビティ。積極的に社会とつながることで、自分の売り込み方も学べますし、貯まった名刺が財産になります。今後いっそう、クリエイターや表現者はこういう心構えが大切になってくると思いますね。

ーーコネクティビティを実現するためのツールとして、いまはSNSをはじめ、インターネットメディアもさまざまにあります。昔に比べ、恵まれた時代ですね。

人とつながる。こんな視点でみると、私が美大生だった70年代後半から80年代初頭と比べると、恵まれているのはたしかでしょうね。自分のポートフォリオをウェブ上にデータベース化できるので、多くの人に作品を見てもらうこともできるし、地理的条件で実際に会うことが難しい人であっても密に連携できれば、ウェブ上でプロジェクトを進めることもできる。産官学共同研究を通じて、いかに美術大学が貢献できるかが問われている時代なので、企業や地方自治体、諸団体とコラボレートするチャンスも増えてきています。

 

クリエイターや表現者をつなぐプラットフォーム、この「BAUS」もそんなひとつでしょう。「実力を試したい」「実践力を養いたい」ーー。こんな風に考える美大生であればあるほど、貴重な経験を積めるはずです。“学びの場”は学内だけではありません。外洋に出て、荒波を泳いでみよう。

 

後編に続きます。

PROFILE

武蔵野美術大学 学長 長澤忠徳

1953年生まれ、富山県出身。1978年、武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業後。1981年、Royal College of Art, London 修士課程修了 MA(RCA)取得。1986年、有限会社長澤忠徳事務所設立、代表取締役就任。1999年、武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科教授に就任。2015年、同学長に就任、現在に至る。2016年、Royal College of Art(英国)より、美術・デザイン教育の国際化を先駆的に推進した功績が認められ、日本人初のシニアフェローの称号を授与。

写真・三宅祐介 編集/文・紺谷宏之

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