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社会の「変化と挑戦」を増やす ー個人クリエイターの独立を促す新サービスBOOSTとは

The Breakthrough Company GO × ASCOPE

日本は非成長社会といわれる、だが。
いや、だからこそ企業や社会の変化に対する期待は高まっている。
変化するべきか。挑戦するべきか。前に進むべきか。
我々は常に、意志をもって、こう言い続ける。
いこう。その先へ。


「変化と挑戦」をテーマに、クライアント企業の変革を支援するThe Breakthrough Company GOのウェブサイトには、このような言葉が掲げられている。
GOが挑戦を後押しするのは企業だけではない。個がエンパワーメントされ、挑戦しやすい社会づくりにも取り組みはじめている。そんなGOが法律事務所ASCOPEとタッグを組んで手がけるプロジェクトが「BOOST」だ。
BOOSTは、個人のクリエイター、スモールチーム、スタートアップを対象に、法務・税務・労務・PRなどのバックオフィス業務を支援するサービス。BOOSTを立ち上げたGOの三浦崇宏さん、ASCOPEの 弁護士・難波隼人さん、両社に所属する税理士・松崎怜さんにサービス立ち上げの経緯から今後の展望まで話を伺った。聞き手を務めたのは、BAUS MAGAZINE編集長であり、Tokyo Work Design Week発起人の横石崇だ。

ビジョンを共有し、互いの強みを持ち寄るGOとASCOPE

BOOSTを手がけるチーム――GOの三浦さん、ASCOPEの難波さん、松崎さんはもともと小中高の同級生であった3人。GOが持つPRやクリエイティブの専門性と、難波さん、松崎さんが持つ税務・法務・労務などの専門性を組み合わせる形でサービスはスタートした。

3人が集ったのは、三浦さんが博報堂から独立するタイミング。三浦さんが会社の設立方法を難波さん、松崎さんに相談し、その時の体験がBOOSTを立ち上げるきっかけとなった。

三浦崇宏さん(The Breakthrough Company 株式会社 GO創業者)

三浦さん:独立するタイミングで難波と松崎に会社のつくり方を相談したんです。広告代理店のクリエイターとして面白い企画をつくることしかしてこなかった。会社をどう作ればいいかなんて全然わからなかったんですよ。僕は同級生にたまたま弁護士や税理士がいたから相談できたけれど、同じように独立の不安を感じている人がきっといるはずなんです。

「クリエイティブな業務に集中したい」そう考えて独立しても、周辺業務は多く存在する。会社設立のための準備や、日々の経理業務など、本当に自分がやるべきなのかと問いたくなることは山ほどある。

GOの設立をサポートした松崎さん、難波さんが勤める法律事務所ASCOPEは、設立5年目で弁護士が17人在籍している。大企業からスタートアップまで、様々な組織のバックオフィス支援を手がけている。

松崎怜さん(税理士)

松崎さん:私たちはバックオフィスの全て――経理、税務、法務、労務などをワンストップで扱えることが強みです。クリエイターにはクリエイティブな業務に集中してもらい、バックオフィスは専門家が担当すればいい。お互いが得意な領域で分担すれば、いい仕事が生まれやすくなると思うわけです。

ただ、ASCOPEがスタートアップのバックオフィスを支援する中で感じた“もどかしさ”もあった。

難波隼人さん(弁護士)

難波さん:スタートアップのバックオフィスを支援する中で感じるのは、どれだけプロダクトが素晴らしくても、私達はバックオフィスを支えることしかできないこと。そのプロダクトが世に広まる手伝いはできないわけです。そこでGOと組むことで、クライアントのPRやクリエイティブ面も支援していけるといいなと。挑戦的な試みではありますが。せっかくいいプロダクトがあるのにそれが売れないのは僕らも悲しいですからね。僕らは税務や法務のサポートではなく、クライアントが成功するためのパートナーでありたいんです。

三浦さんがGOを設立する時に感じた独立の不安、そしてASCOPEがスタートアップ支援の際に感じていた課題意識、これらが結びつく形で、BOOSTの原型が生まれた。

三浦さん:GOとASCOPEはともに変化や挑戦は基本的に良いことだと信じている。当然だけど、独立する人、新たにスタートアップを立ち上げる人が“自分のやるべきこと”にフォーカスできたほうがいい。そんな考え方を共有できるからこそ、チームを組んだんです。あっという間にチームができて新しいプロジェクトを始められた。僕からすると、ASCOPEの人たちもクリエイターみたいなもんですよ。

 

広告業界のスタートアップ”は、社会の「変化と挑戦」を後押しする

「変化と挑戦」――これはGOが創業以来掲げているテーマだ。BOOSTを立ち上げたのも、このテーマに則っている。個人の独立、スモールチームやスタートアップの設立や、世の中における挑戦の総数を増やすことにつながっているからだ。

「変化と挑戦をテーマにするならば、誰よりも自分たちが挑戦し続けなければいけない」と三浦さんが語るように、GOは事業体として「事業クリエイティブ」と「サクセスシェアリング」という新しいビジネスモデルを広告業界に持ち込み、スタンダードにしたいとまで言う。その姿勢は“広告業界のスタートアップ”そのものだ。

GOが取り組む「事業クリエイティブ」は、クリエイターの持つスキルや職能を「広告宣伝」以外にも活かしていく試みだ。

三浦さん:僕はコンサルタントや銀行員に嫉妬するんです。たとえば、経営コンサルタントはクライアントの事業予算の全てを見ることができる。でも、クリエイティブディレクターは全予算の2割の専門家でしかないんです。なぜならクリエイティブディレクターが扱うのは「広告宣伝費」であり、それは全予算の2割しかないからです。クリエイティブの力が過小評価され過ぎている。経営者と対等に接し、残りの予算の8割に対してもクリエイティブの力を活かせるはずです。

商流の下流になりやすい「広告宣伝」から、事業づくりや企業の戦略策定といった上流へ。クリエイティブの力を信じて、その“川”を上っていく。GOの試みは、クリエイターの稼ぎ方を大きく変える可能性を秘めているように感じられる。

GOが掲げるもう一つのテーマは「サクセスシェアリング」だ。広告代理店がコミッションを貰うビジネスモデルなのに対し、GOが目指すのはレベニューシェアのモデルだ。

三浦さん:私達はクライアントを「パートナー」と呼びます。「パートナーがサクセスするためには何が必要か?」を考え、こちらから積極的に提案していくスタイルです。クライアントから呼び出されて、業務を請け負うという従来の“代理店”スタイルを取らない。パートナーの成長が自分たちの収益にもなるレベニューシェアのモデルをクリエイティブ業界に浸透させたい。その方がこっちもやってて気持ちいですからね。どうせ徹夜したりするにしても(笑)。

横石崇(BAUS MAGAZINE編集長/Tokyo Work Design Week発起人)

三浦さんが掲げるビジョンに対して、横石はクリエイティブエージェンシーTUGBOATを引き合いに出す。TUGBOATは、広告代理店から独立したクリエイターによる初のクリエイティブエージェンシーとして設立された。「クリエイターによる独立」という新たな潮流を生んだTUGBOATのバトンを受け取ろうとしているのは、GOだ。「クリエイターが事業に関わり、ビジネスにも貢献する」そんな時代が訪れるのではないかと、横石は応える。

「変化と挑戦」に向き合うのはGOだけではない。パートナーのASCOPEも設立5年目にして現在弁護士17名、所員総数30名を超える事務所であり、比較的小規模な事務所が多い士業業界において日々拡大・成長を続けている。

「変化と挑戦」に向き合ってきたGOとASCOPEだからこそ、挑戦しようとする個人、スモールチーム、スタートアップの挑戦に真摯に向き合える。だからこそ、BOOSTには説得力が生まれる。

 

BOOSTの本質は、クリエイターが“気持ちよく”独立できる環境をつくれるか

2018年2月にBOOSTはローンチした。GOはPRやクリエイティブの領域を担当し、ASCOPEが法務・税務・労務などのバックオフィスの領域を担当する。月額15万円(初月無料)のスタートプランでは月1回のミーティングの実施、法務・税務・労務面でのサポート、プレスリリースの制作と配信、サービス登録者同士の交流会への招待などのサービスが提供される

GOが手がけるPR、クリエイティブは表層的なPR戦略ではない。社会文脈の中にプロダクトやサービス、会社組織をどのように位置づけるか。ときには、会社の存在意義を問い直すところから始めることがあるという。ASCOPE内に弁護士、税理士、労務が在籍しているため、税務や法務などのバックオフィスを一気通貫で支援できることもBOOSTの強みだ。

BOOSTが対象とするのは、独立を考えている個人クリエイター、スモールチーム、スタートアップと様々だ。なかでもリリース時に問い合わせが多かったのは、「大手広告代理店やテレビ局から独立したいクリエイター」だったという。

三浦さん:この人が会社を辞めれば役員は焦るだろうな、と思う人からの問い合わせもありました(笑)。広告代理店のクリエイターは想定内ですが、意外に多かったのはテレビ局のディレクターやプロデューサーからの問い合わせです。NetflixやAbemaTVなどの新興サービスが出てくる中でテレビ局以外の挑戦の場を探している方が増えているんです。

BOOSTを通じて、個の挑戦を後押しする――それはGOの事業にもポジティブな影響をもたらす。「BOOST単体での収益化は重要じゃない」と語る三浦さんは、GOにおけるBOOSTの位置づけを次のように考えている。

三浦さん:様々な個人クリエイターやスタートアップと出会うきっかけにBOOSTを活用したいんです。BOOSTが入り口となり、彼らを継続的に支援していく。機会が訪れれば、GOと仕事をしたり、ASCOPEと契約したりと、一緒に新しい挑戦ができるかもしれない。その機会に投資していきたいんです。

 

より多くのクリエイターがBOOSTを使えるように

個人の変化と挑戦の総量を増やすためにBOOST自体も進化していく。次なる一手は、チャットボットの導入だ。

BOOSTのスタートプランは初月無料で、月額15万円と独立したばかりのフリーランスが支払うのは難しいかもしれない。そこで考えたのが、LINEなどのプラットフォームでチャットボットの応答システムを構築し、より安価でサービスを提供することだ。

三浦さん:独立したばかりのクリエイターや会社を起業したばかりの人の法務や税務、PRに関する悩みは、類型化できるんです。躓くポイントを書き出していけば、40個くらいではないでしょうか。チャットボットにあらかじめ回答パターンを入れておくことで、多くの人にサービスを利用してもらえるようにしたい。もちろん、より高度な質問に対応する時は僕や松崎、難波が出ていくんですけどね。

BOOSTが一貫して目指すのは、個人が挑戦しやすい社会の実現だ。個人やスモールチーム、スタートアップの挑戦が増えれば、社会はより良い方向に変わっていく。BOOSTは個人の挑戦を“後押し”することで、その変化を速めてくれるだろう。

PROFILE

BOOST

法律事務所ASCOPEの専門性と、GOの事業クリエイティブとPRの技術を掛け合わせることで、フリーランスや副業で働くクリエイター、コンサルタント並びに小規模スタートアップ企業を対象に、広報・法務・税務・労務といったバックオフィス業務を支援する新サービス。顧客は独立開業時における負担を軽減し、クリエイティブな本業に集中することが可能になる。

PROFILE

The Breakthrough Company GO

電通・博報堂より独立した三浦崇宏と福本龍馬によって設立。マーケティング、クリエイティブ、テクノロジー、金融、PR… すべての領域で、企業と社会の変革をサポートする。 通常の広告代理店、PR会社の領域を超えて、“事業クリエイティブ”を標榜し、大企業の新規事業立ち上げ、ベンチャーの事業成長のサポートを得意とする。

PROFILE

ASCOPE

法務(弁護士)、税務(税理士)、労務(社労士)の専門家で組織されたプロフェッショナル集団。 グループ内に、法律事務所、税理士事務所、社労士事務所を有しており、個人様・企業様の抱えるあらゆる課題を解決できる体制を整えている。

写真・下屋敷和文 取材・横石崇 編集/文・岡田弘太郎

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