MENU

クリエイターのためのクレジット・データベース

MENU
CLOSE © COPYRIGHT BAUS, ALL RIGHTS RESERVED

クリエイターの一歩を支える、コワーキングスペース「PROP」

PROP

「クリエイター本来の仕事ってなんだろう」経理や交渉ごと、雑務などに日々追われると、思わずそう感じることもあるだろう。特に小規模の会社やフリーランスは、クリエイティブそのもの以外のさまざまな業務も自らこなさなければいけない。しかしクリエイターの仕事とは「こなす」ことではなく、「創造する」ことのはずだ。
この課題に対し、クリエイターに特化したコワーキングスペース「PROP」を立ち上げたのは、デザインファームWOIL代表取締役の森下渡さんだ。大企業から小さなクリエイティブファームまで、さまざまな規模の組織を経験する中で、クリエイティブに集中できる環境の必要性を感じた森下さんは、その場を自ら作り上げた。PROPは「支え」「支柱」といった意味をもつ言葉。クリエイターの出会いと成長を支えたいという同社の想いが反映されている。
WOILはなぜクリエイターに向けた「場」を作ったのか。そしてPROPがクリエイターに特化していることの価値とは。森下さんに加え、PROPを拠点に活動するminiTOMATO inc.デザイナーの波平昌志さん、フリーランスデザイナーの柳原英司さんに話を伺った。

クリエイター同士がつながる、相談できる場としてのコワーキングスペース「PROP」

左から、miniTOMATO inc. 波平昌志さん 、WOIL代表取締役 森下渡さん、フリーランスデザイナー 柳原英司さん

ーーはじめに「PROP」の概要を教えてください。

森下さん:PROPは2018年3月にオープンした、クリエイター特化のコワーキングスペースです。クリエイターがクリエイティブに集中できるよう、経理や雑務を依頼できる専門スタッフが常駐。プリンタやモニタ、紙のサンプル帳やデザイン誌などデザイン業務に必要な環境を整えています。困った時に相談できたり、クリエイター同士がつながれる場としても、機能すればと考えています。現在は、フリーランスデザイナーや数人規模のデザイン会社に入居いただいています。今日は、入居者の波平さんと柳原さんに来ていただきました。お二人ともデザイナーとして、お仕事をされています。

miniTOMATO inc.デザイナーの波平昌志さん

ーーおふたりはどのような経緯で入居されたのでしょうか。

波平さん:僕は、グラフィックデザインをメインとする会社、miniTOMATOを今年1月に友人と共に立ち上げました。2月までは自宅と間借りしていたWOILの事務所で仕事をしてたのですが、作業する場がちゃんと欲しかったのと、WOILさんと一緒にお仕事することも多く、仕事へのプラスな影響も期待できる。また、備品などの初期費用を抑えられることもあり、3月から入居しました。今は、森下さんの繋がりで紹介していただいた仕事や、知り合いからの仕事を半分ずつくらいで行なっています。WOILさんが忙しい時は、お手伝いをすることもあります。

フリーランスデザイナーの柳原英司さん

柳原さん:僕は、グラフィックとWebの領域のデザイナーです。4月にフリーランスとして独立しました。はじめは家で仕事をするつもりだったのですが、一人で仕事をしていると他者の仕事の“過程”を学ぶことができない。技術的なことは一人でも勉強できますが、周りのクリエイターから学ぶ機会がほしいと思い入居を決めました。経歴としては会社員、独立・起業を経て、フリーランスになったのですが、一人で仕事をしていると“自らの空気”でしか仕事ができないことに気づいて。空間を共にしながら他者と働くことで、いい影響をもらえたらいいなと思っています。ここにいるクリエイター同士は、場合によっては家族よりも長い時間を過ごすことになります。仕事以外の面でも刺激をもらえたらなと。

波平さん:求める求めないは自由として、情報をシェアしたり相談したりできる場があることは良いことだと思いますね。独立してから、自分で判断をしなくてはいけないタイミングが必然的に増えました。自分だけで決めて提案をしなくてはいけないのは、不安もある。そういったときに話せる人がいるだけで「ああ、これでいいのか」とか「もう少し直そうかな」とか、判断を助けてもらえるのは大事だなと思っています。もちろん、一緒に仕事を手伝ってもらえる人や面白い案件との出会いへの期待もありますね。

 

クリエイターの“苦手”をサポートし、チームとしての関わりを生む

デザインの専門書が揃う
パルダリウムがのぞくミーティングスペース
miniTOMATO inc.が入居する固定席
作業用のディスプレイも完備されている

ーー単に仕事場としてだけではなく、クリエイター同士で作用しあえる場としての期待があるのですね。そもそもWOILはなぜ、この場を立ち上げようと考えたのでしょうか。

森下さん:クリエイターがクリエイティブに集中できる環境を作りたいという思いからです。経歴から少しお話しすると、私は大規模な制作系会社から小さなプロダクションまで、さまざまな環境で働いてきました。ただどの環境でも上下関係でやらざるを得ないタスクや、クリエイティブと関係のないタスクが少なくない。その中で、はじめは楽しいと思って始めたクリエイティブの仕事を楽しめなくなる人々を見てきました。

そのため2016年3月にWOILを立ち上げた際には、できるだけフラットな会社にしたい、クリエイターのクリエイティブにかける思いを尊重できる会社にしたいと考えたんです。それをより具体的にしたのが、代理店で営業経験のある加藤が入社したことでした。加藤は代理店時代に、一緒に仕事をしているクリエイターが、見積もり作成や金額交渉など、クリエイティブ以外の業務に苦手意識を抱え、苦労している姿を見て課題を感じていました。フリーランスや独立に興味があるクリエイターは多い一方、クリエイティブ以外の業務や、初期費用の面が足かせになり、踏み切れない人も多い。

そこで、フリーランスや独立をする人をサポートする仕組みを作れないかと考え、結果生まれたのが、クリエイターに特化したコワーキングスペースPROPでした。コワーキングという「場の提供」をすることで初期費用などを抑え、金銭面や交渉、バックオフィスなどクリエイティブ以外の業務を支える体制を用意。クリエイターがクリエイティブに最大限集中できる環境としてのコワーキングを用意しました。

また、仕事の合間に入居者同士で話したりすることで、気が合うなとか、こういうスキルを持っているんだとか知ることができる。肌感覚も含めた予備情報を持つことで、クリエイター同士が連携して仕事ができるのではないかなとも考えています。フリーランスや小規模な会社は、せっかく声が掛かってチャンスがきたとしても手一杯で受けられない場合もある。そこであらかじめ知っているメンバー、頼みやすい人が近くにいる環境があれば、新しいことにもチャレンジしやすくなるのではないかなと思っています。1つの場に集まることによって、チームとしての関わり合いができるのではないかと考えているんです。

WOIL代表取締役 森下渡さん

ーー森下さん自身、制作者としてのチームや環境の重要性も感じていらっしゃったのでしょうか。

森下さん:おっしゃるとおりですねその人に適した環境があることによって仕事に対するモチベーションが全く変わるということを、働く中で感じてきました。また、PROPの構想段階で周りのクリエイターにアンケートをとったのですが、複数人から「話し相手になるような人を置いてほしい」という意見がありました。行き詰まった時に、何気ない話をできるような人の存在がほしいと。やはりそういったニーズはあるのだなと改めて感じ、PROPの構想に盛り込んでいきました。最近では外国人の利用者が参加してくれたりと、コミュニケーションの幅はどんどん広がってきています。

 

クリエイター同士の可能性が生まれていく場所

開放感のあるバルコニーもある

ーーPROPというコミュニティはどのような形で機能していくのでしょうか。

森下さん:いくつかの会社やフリーランスが同じ場所にいるという形では無く、個のクリエイター同士がゆるやかな共同体として繋がっているイメージが近いですね。WOILという会社自体も、PROPの一員として中にいる。フラットな関係性を大切にしながら、この場にいる人たちとコミュニケーションを取ったり、一緒に共同作業をしたりという関係が生まれています。

 

ーーPROPには今後、どのような人に集まってほしいという想いはありますか。

森下さん:これからクリエイターとして新たな1歩を踏み出す人、クリエイターとして、常にアンテナを張っている人ですね。PROPという「場」やコミュニティが、クリエイターが一歩を踏み出すための土台になり、「独立したての時、PROPに入居して本当に良かったよね」と思ってもらえるといいなと思っています。クリエイター同士の可能性が生まれていく場所として、PROPを機能させていきたいですね。

 


<入居者募集>
PROPでは入居者を募集しています。詳細な内容については下記よりご確認ください。
>>http://prop-tokyo.jp/

PROFILE

CREATOR'S CO-WORKING SPACE PROP

PROPはデザイン会社WOILが運営するクリエイター向けコワーキングスペースです。クリエーター同士が繋がることができる出会いと成長の場所を目指し、デザイン会社だからこそわかるクリエイターのさまざまなニーズに対応します。

写真・池本史彦 編集・小山和之 文・佐藤由佳

関連記事

  1. 新旧文化が交わる神田錦町の「まちと仕事を結ぶクリエイティブ」

    READ MORE
  2. 古市憲寿の「チョコレートとジレンマ。」

    READ MORE
  3. ナチュラルローソンがBAUSで繋がったクリエイターとコラボレーション!

    READ MORE