会場に残って熱心に講師に質問したり、参加者同士でアカウント交換をしたりするなど、大盛況のうちに終了した株式会社ローソンによる「ローソンインスタ研究所」の写真撮影ワークショップ。会場となったのは恵比寿にあるCAFÉ PARK。半地下にあるカフェで、木目調で統一された店内はインスタ映えしそうな雰囲気だ。キッチンカウンターにナチュラルローソンやMACHI café の焼き菓子が並べられるなか、会場には、応募者総数776名の中から抽選で選ばれた30名ほどの参加者が顔を揃えた。今回の講師は、美しい食卓の様子を日々投稿し、3万人以上のフォロワーを抱える人気インスタグラマーのpetit_pocoさん。撮影のコツやテーブルコーディネートのポイントなど、美しいながらも、どこか日常的な優しい雰囲気の写真を撮る秘訣を教わった。
身近な、ちょっとしたものを使ってできる工夫を凝らす
今回のワークショップで撮影するモチーフは、「Uchi Café」の中でも特に人気が高く、4月3日にリニューアルした「新プレミアムロールケーキ」と「濃厚なめらかベイクドチーズケーキ」。これらのスイーツを使って、簡単に自宅でも真似できるテーブルフォトのテクニックを学ぶ。
前回と同じくGENIC LABの木村優紀子さんをモデレーターに、講師であるpetit_pocoさんのレクチャーが始まった。
普段は、お手製のスイーツやパンなどを家で撮影することが多いというpetit_pocoさん。まず紹介してくれたのは、室内で写真を撮る際の“光の扱い方”について。
「光がうまく取り込めないときは反射板をおく」「反射板は、A4のコピー用紙を半分に折ったもので良い。安いベニヤ板を白ペンキでペイントすれば、背景にも使える」「柔らかい雰囲気の写真を撮りたいときは、逆光が良い。カメラと被写体の間に反射板を置くと、影が和らぐ」など、いずれも今すぐに実践できそうな内容だ。
実はそんなに難しくない。いくつかのポイントを押さえればスイーツはきれいに撮れる
続けてみんなのお目当てである、petit_pocoさんのコーディネート術について。
「たくさんのものを画面の中に入れないように引き算すると、スペースができて、奥行きがある、立体感のある写真になる」「例えばロールケーキはどうしても平面的になってしまうので、辞書や箱の上にお皿を置いたり、ケーキの後ろにコーヒーカップや花を置いたりすることで立体感を出す」「真俯瞰で撮る時も、マグカップの上に皿を置くと、モチーフの距離が近くなり強調できる」等々、数々のアイデアが語られた。
さらに会場がカフェということもあって、“カフェでうまく撮るコツ”が紹介された。
「カフェって、壁やインテリアがすごくおしゃれ。真横から、カフェの背景も映るように撮ると雰囲気が出やすい」「手前にコップ、奥の方にスイーツを置いて、奥側に焦点を当てて撮るとケーキが強調されて見える」「カトラリーを置くだけで雰囲気が変わる」「あえて皿を見切って、床も一緒に写すと高低差が出てメリハリが生まれる」など、この後のワークショップで早速使えそうなアドバイスが送られた。
petit_pocoさんによる実演、そしていざ実践へ!
講義の後は、petit_pocoさんが実際に会場でテーブルコーディネートし、撮影する実演タイム。
「写したいものをまず置いて、それから小物やクロスを整えます。今回の被写体である、なめらか濃厚ベイクドチーズケーキは高さがないので、本を下に置いて高低差を出しますね。構成する色数は少なめで、できれば3色くらいで統一しましょう。今回はチーズケーキを引き立たせるために、白っぽい小物を選んでいます」と言いつつ、テキパキと配置、あっという間にテーブルセットしていく様子はまるで手品のよう。
そしていよいよお待ちかね、各自の撮影タイムがスタートした。
petit_pocoさんが基本的に一眼レフで撮ってから加工するということで、会場も一眼レフやデジタルカメラを手に撮影に挑む人が多数。話を聞いてみれば、「一眼レフで撮ってPCで加工するのはハードルが高かったけれど、今はスマートフォン(以下、スマホ)に移して加工できるから簡単になった」とのこと。確かに今回のような室内でのテーブルフォトであれば、一眼レフで撮ってみるのもより細かな調整ができていいのかもしれない。
また会場のあちこちで、テーブルセッティング苦戦する姿が。講師のヘルプを求める声が多く、いろんなテーブルで忙しくアレンジのアドバイスが行われていた。テーブルに敷くクロスも少しくしゃっとさせてラフ感を出したり、カトラリーに照明が反射してしまう箇所に小さな花束を置いてアクセントにしたりするなど、本当にちょっとした工夫であっという間におしゃれなセッティングになっていく。
何度やっても難しい。みんな知りたい加工の仕方と、写真の講評へ
ワークショップを終えた後は、会場のスクリーンにpetit_pocoさんのスマホを直接つなぎ、画像加工のレクチャーへ。
撮った写真を、透明感のある青みがかった雰囲気にするため、Adobe社のスマホ向け加工アプリ”Photoshop Express(以下、PS Express)”である程度調整した後、Instagramで加工していく。PS Expressで青くした後にInstagramでも青く加工すると、不自然な青さにならず良い加減に微調整できるそう。
加工講義の後は、なんとUchi Cafeから5月に発売されたばかりの新作のケーキが登場。贅沢にも、みずみずしいメロンのショートケーキと濃厚なめらかレアチーズケーキの2種類のケーキを味わいながら、会場で撮影された写真についてpetit_pocoさんによるフィードバックを受けた。
michi(@michismichii)
思い切って寄りで撮ることで、ロールケーキの高さが出ていていいなと思いました。周りに散らしてあるお花がかわいいです。
前田 将拡(@mshr_med)
一つのお皿に違う種類のケーキをのせて写すのってなかなか難しいと思うんですけれど、うまくまとめられているなと思いました。フォークの使い方もいいですね。
ずっと続けていくことで、スタイルは作られる
最後に、petit_pocoさんから一言。
「テーブルコーディネートがうまくできるようになるコツは、多分積み重ねだと思います。現に私も、ああでもない、こうでもないって写真を撮っているうちに、自分のスタイルができてきたので。今日はいつもフォローしてくださっている方や、違うイベントで先日ご一緒した方、今まで直接お話したことなかった方とも会えて、より身近になりました。こういうところも、インスタを続けている楽しみの一つかもしれません」
イベント終了後、参加者に感想を聞くと「普段、花を買ってきたら花をそのまま写していたのですが、これからは撮影小物として取り入れます」「こういうおしゃれな写真ってどうやって撮られているのかなと思っていた。今日は勉強になりました」「ローソンさんに、ロールケーキ、本当に美味しかったと伝えたいです!」等々の感想をはじめ、多かったのが「講師のセレクトがぴったりだった」との声。中には「結構他のインスタグラマーさんのワークショップに行っているけれど、企業秘密というか、本当に良い撮り方は教えてもらえないことが多かった。今日は役立つ情報が盛りだくさんで良かったです」という感想も。
後日、「#ローソンインスタ研究所」でInstagramを検索してみると、投稿された写真一枚一枚にpetit_pocoさんからの丁寧なコメントが。その素敵な人柄がInstagramの画面越しにも伝わってくる。もしかしたらこういう優しい日々の積み重ねこそが、美しい写真を撮る秘訣なのかもしれない。
PROFILE
@petit_poco
ブレッドライセンスと製菓衛生師の資格を持ち、自宅でパン教室を開催していたが、夫の転勤を機に教室を休止し、現在はのんびりと日々のパンやお菓子作りを楽しむ。愛用カメラはCanonEos6d。出産後、ABCクッキングのパン教室に通い、2007年にブレッドライセンスを取得。横浜へと引越し後、国際フード製菓専門学校の通信課程で学び、2014年製菓衛生師の免許を取得した。