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共創時代のクリエイティビティ。「TRUNKER’S NEXT PROJECT」始動!

TRUNK(HOTEL)

ソーシャライジング。こんなコンセプトを掲げ、2017年5月、原宿・神宮前(渋谷区)にオープンしたブティックホテルがいま、国内外で話題だ。その名はTRUNK(HOTEL)。開業以来、既存のホテル業界の枠組みを越え、さまざまな取り組みを行い、人と人、人と社会がつながる“社会貢献の新しいカタチ”を提唱中だ。運営するのは株式会社TRUNK。聞けば、アメリカ最大手のトラベル誌の「Travel + Leisure It List 2018」の選出や、ホスピタリティ&デザインを表彰する世界的アワードのアジア部門「AHEAD Asia」の「The New Concept of the Year」も受賞済み。ホテルでありながら、宿泊者のみならずあらゆる人を受け入れ、コミュニティハブとしても機能する同ホテルは、“東京のいま”を感じるエネルギーに満ち、ホスピタリティに溢れていた。「開業して1年4カ月、開業に至る4年間の準備期間。TRUNK(HOTEL)は新しい社会貢献のスタイルをソーシャライジングと定義し、ホテルの過ごし方やラウンジの在り方、ライフスタイルショップの商品ラインナップに至るまで、一貫してこのコンセプトに忠実に、“モノづくり”や“コトづくり”をしてきました」。こう話すのは市川裕秀さん(写真・中右)。プロジェクト始動時からクリエイティブ領域を担当し、現在は人事部のマネージャーとして人財を統括する。聞けばホテルの開業に先立ち、ホテルのロゴデザインやスタッフユニフォーム、ホテル棟内装、家具、アメニティ類など、TRUNK(HOTEL)を彩るものの多くは、各分野で活躍する外部クリエイターと社内クリエイティブチーム(TRUNKアトリエ)によるコラボレーションにより、生み出されたそう。中心となったのは、アートディレクターの山岡重信さん(同・中左)、デザイナーの柴田優さん(同・左)。開業後にジョインした空間ディレクターの関根将吾さん(同・右)もまた、専門領域で手腕を振るうひとりだ。4人に、 TRUNK(HOTEL)との共創を通じた、若手クリエイターの発掘プロジェクト「TRUNKER’S NEXT PROJECT」への想いを聞いた。

はじめに話を聞いたのは、人事部マネージャーの市川裕秀さん。2013年からTRUNK(HOTEL)プロジェクトに参画し、ライフスタイル系コンテンツ開発を監修、現職に至る。「ホテル事業にチャレンジしよう」。総合プロデューサー・野尻佳孝さん(株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ代表取締役会長・株式会社TRUNK代表取締役社長)指揮のもと、ゼロからプロジェクトを進めた“影の立役者”のひとりだ。

ーーTRUNK(HOTEL) × BAUS。この度、TRUNK(HOTEL)との共創を通じた、若手クリエイターを発掘するプロジェクトがスタートします。「TRUNKER’S NEXT PROJECT」の始動に先立ち、いま一度、TRUNK(HOTEL)の成り立ちからお聞かせください。

市川さん:TRUNKの親会社であるテイクアンドギヴ・ニーズはこれまで、「人の心を、人生を豊かにする」という信念をもち、ウェディングを通して人々の豊かさを追求してきました。他方、豊かさの概念は時代とともに変化。自分らしい考え方や価値観、ライフスタイルを通し、サスティナブル(持続可能)で社会的価値を高める活動に興味をもつ人たちが増えている実感もありました。言葉を変えるなら、「誰かの役に立ちたい」「何かのためになりたい」という想いの広がりです。そんな時代状況の中、新規事業立ち上げの話が野尻から持ち上がり、プロジェクトが始動。ホテル開業の4年ほど前の話です。

 

ーー準備期間に4年かけたんですね。

市川さん:長い道のりでした。ウェディングのノウハウはあるものの、ホテル事業は初の試み。多くのシナジーを生み出せるという予感はありましたが、確固たる価値観をもったホテルを作り、その価値観に共感してくれる人たちが集まらない限り、ソーシャルインパクトを残すことはできない……そんな想いの中、海外にあるサスティナブルをコンセプトとしたホテルをまわり、現地調査。地方創生に取り組むNPOの方に話を伺ったり、行政の長と意見交換したり。社会貢献について考える時期でもありました。そんな活動を経て、日本には、多様化したライフスタイルに応える、独創的なコンセプトを持つホテルが圧倒的に少ないという結論に至り、人々のライフスタイルに密着した唯一無二のホテルを作ろうという想いに至りました。

ーーその結果、導きだしたコンセプトが「ソーシャライジング」なんですね。

市川さん:はい。私たちが考えるソーシャライジングは、「自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活すること。」です。TRUNK(HOTEL)が多種多様な人々の交流のハブとなり、その結果、新しい社会貢献のスタイルを生み出す発信拠点になることを目指しました。このソーシャライジングという考え方を広め、新しいムーブメントを起こすため、「環境」「ローカル優先主義」「多様性」「健康」「文化」という5つのキーエレメントを定め、ホテルの過ごし方やラウンジの在り方、ライフスタイルショップの商品ラインナップに至るまで、こだわり抜きました。

 

ーー客室はもちろん、レストランやラウンジ、ホテル内のライフスタイルショップ、そこで販売する250種類を超えるTRUNK(HOTEL)オリジナルの商品やキュレーションしたアイテム群まで、1つ1つ丁寧にソーシャライジングというコンセプトに紐づけ、クリエイティビティを発揮してるわけですね。

市川さん:例えば、ホテルの顔としてゲストを迎え入れるラウンジ。こちらのスペースには、ソーシャライジングへの理解を深めるための仕掛けを散りばめているんですよ。古材や廃材を活用した内装、環境に配慮したマグカップ、世界的にも注目を集めるアウトサイダーアート……あらゆる人を受け入れるコミュニティハブとして、LGBTQ発信のイベントなども開催しています。ライフスタイルそのものを変えることは難しくても、意識を横にスライドし、前向きな気持ちになることはできるはず。一人でも多くの人がTRUNK(HOTEL)での経験を通し、何かをはじめるきっかけになってくれたら、私たちはハッピーです。

ーー今回の「TRUNKER’S NEXT PROJECT」のプログラムは「社会課題を解決するデザイン」。ワークショップに参加した若手クリエイターたちに期待していることは?

市川さん:まず、ソーシャライジングというコンセプトについて、参加した皆さんに共感していただき、深く共有できればと思っています。その共鳴さえあれば、あとはルール無用。「独創、革新、貢献、誠実という価値観を持って、イノベーションを起こす」。僕を含め、メンバーはみな、こんな想いを持っているのでカッティングエッジなアイデアに期待させてください。自社のクリエイティブチーム(TRUNKアトリエ)には唯一無二なキャリアを経て合流したユニークなメンバーが揃っています。“新しいシナジー”にも期待しています。

 

続いて話を聞いたのは、前出のクリエイティブチーム(TRUNKアトリエ)の3人。アートディレクターの山岡重信さん、デザイナーの柴田優さん、空間ディレクターの関根将吾さん。TRUNK(HOTEL)のクリエイティブの全領域に携わるクリエイター集団だ。

ーー現在に至るキャリア、TRUNK(HOTEL)での業務領域についてお聞かせください。

山岡さん:20代の頃、ジュエリーブランドを立ち上げ、独立。その後、アパレルブランドを立ち上げ、時期を同じくしてHAZEに師事しグラフィックデザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。その後、フリーランスのアートディレクターとして、銀座にある店舗のインテリアデザインや国内最大規模のフェスやイベントの装飾、全国展開するジュエリーブランドのVMDなどを手がけていました。「残るものを作りたい」。こんな気持ちが強くなっていた頃、「ホテルを作る創業メンバー、募集」の告知と出合い、2015年にTRUNKにジョイン。現在はアートディレクターとして、TRUNK(STORE)の商品企画のほか、これまで培ってきた知見や人脈をいかし、ソーシャライジングに紐づくクリエイティブ全般を担当。ラウンジで開催する音楽イベントや館内BGMのプロデュースやセレクト、若手アーティスト発掘のレビュアーも担当しています。様々な楽しいことを産み出すのも仕事です。

柴田さん:15歳の頃から意識的にさまざまな土地に移り住みながら、ヒトやモノ、空間の中で、専門的かつ横断的にデザインやアートを学んできました。ちょっと怪しい(笑)。社会に出てからはCMや映画のセットを作る美術の仕事からキャリアをスタート。山岡さんと同じように「世の中に残るものを作りたい」っていう気持ちが強くなっていた頃、TRUNKと出合い、合流しました。現在はデザイナーとして主にTRUNK(STORE)の商品企画やデザインを担当。年齢が若くても関係なし。個人に裁量権を委ねる社風に惚れてます(笑)

関根さん:僕のキャリアのスタートは設計事務所。次に食品系企業のインハウスVMDとして5カ国の海外店舗の立ち上げを経験した後に、インテリアデザイン事務所で商業空間のモノ作りを担い、それらの経験を活かしてオーダーメイドのイベントやウェディングを軸とする企業で空間装飾のアートディレクターを担当していました。そこから独立し、廃材や廃棄物を素材として新たな価値あるモノを生み出すアップサイクルブランドを立ち上げ活動する中、ソーシャライジングに共鳴し、空間ディレクターという肩書きでジョインしたのが今年。今まで全ての経験が生きるTRUNKだからこそ色々なことにチャレンジできると思っています。

ーーTRUNK(HOTEL)で働く面白さはどんなところにありますか?

柴田さん:ソーシャライジングという考え方に強く共感しているので、このコンセプトを守りながら商品開発してる瞬間が楽しいな。ホテルは衣・食・住がパッケージされた特別な場所。「Made in Shibuya」「Made in Tokyo」「Made in JAPAN」にこだわり、自分たちが誇るべき技術や生産物を取り入れていけるのって、TRUNKで働く醍醐味だと思う。

山岡さん:こだわるほど大変になっちゃうけど、そこがいい。妥協できないっていう。

柴田さん:食品や飲料、雑貨、衣類など、取り扱う商品ジャンルも幅広いので、日々知恵を絞ってます。パートナーさんと密にコミュニケーションしながら作る。出来上がった商品にはみな、きちんとしたバックストーリーもある。思想とデザインをどう両立できるか、ですね。

関根さん:「TRUNKアトリエ」メンバーってホントにいろんな出自の人が揃ってるから、巻き込んだり巻き込まれたりっていう仕事の進め方も楽しいな。今後、すでに公に発表してるとおり、TRUNK(HOTEL)を続々オープンしていく予定なので、ここ渋谷の様に、東京の、もしくはその街の新たな価値を見つけ、カルチャーを生み出し、街やエリアを盛り上げることができるホテルや場を創れたらと思っています。

ーー「TRUNKER’S NEXT PROJECT」のワークショップに参加するクリエイターたちに期待していることをお聞かせください。

柴田さん:「TRUNKアトリエ」メンバーの中だと、じつは私が一番年下。「自分はこう思う!」。熱意があれば全員話を聞き、そのアイデアをベースに話し合える関係なので、風通しは最高だと思います。オーナーシップを持って、自分が思っていることやアイデアをはっきり言える人が求められています。

関根さん:僕はいま、35歳。自分と10歳年齢が離れている人であれば、浴びてきたカルチャーも世の中の捉え方も違うもの。自分にはない新しい視点と出合えたらいいな。自分にスタイルがあり、熱量の高い人と出会えたら嬉しいです。

山岡さん:年齢を重ねると経験値が上がっていく分、ルールができ、自分のクリエイティブについて頑固になっていく部分があるよね。でも他方、若手のクリエイターと接していると、柔軟な考え方に驚かされることもある。おっさんには出ないアイデアだったり、思考プロセスだったりに期待させてほしいな。TRUNK(HOTEL)と関わることで、クリエイターとして花開くことに期待しています!

PROFILE

TRUNK(HOTEL)

2017年5月、渋谷区神宮前にオープンしたブティックホテル。館内には客室、レストラン、ショップ、ラウンジが揃い、あらゆる人を受け入れるオープンな空間が広がる。TRUNK(HOTEL)は、「ENVIRONMENT(環境)」「LOCAL FIRST(ローカル優先主義)」「DIVERSITY(多様性)」「HEALTH(健康)」「CULTURE(文化)」という5つのカテゴリーに注力しながら、「一人一人が日々のライフスタイルの中で、自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活すること」という「ソーシャライジング」をコンセプトに掲げる。

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