MENU

クリエイターのためのクレジット・データベース

MENU
CLOSE © COPYRIGHT BAUS, ALL RIGHTS RESERVED

「Rethink Creator PROJECT」が描く、持続可能な地方活性化の未来

CREATORS MATCH × JT Rethink PROJECT

2018年8月。全国各地にクリエイターを生み出し”続ける”プロジェクトが立ち上がった。その名も「Rethink Creator PROJECT」。 12月には西野亮廣氏や柳澤大輔氏らを審査員に迎えたコンテストも実施するという。仕掛け人となったのは、日本各地でクリエイターを育成してきた株式会社クリエイターズマッチ(以下、CREATORS MATCH)と、Rethink ー視点を変えれば世の中は変わるーというステートメントを打ち出す、日本たばこ産業株式会社(以下、JT)のJT Rethink PROJECTだ。「育成プロジェクトなのですが、実はクリエイターの方々の協力が必要なんです。」と語るのは、CREATORS MATCHの羽室吉隆さん(写真・右)と、JTの大平祟依さん(同・左)。各地で生まれたクリエイターが、自らその土地の魅力を発信するようになれば、地方の活性化にも繋がる本プロジェクト。目指す未来図についてお二人に話を聞いた。

——今年の8月からスタートしたRethink Creator PROJECT。地方活性化の新たなモデルになりそうな予感がするこのプロジェクトですが、まずは概要について教えてください。

羽室さん(CREATORS MATCH):一言で言うと、“Rethink”(=視点を変えて考える)と、“Creative”(=考えを形にして伝える)という二つの要素を併せ持つ、“Rethink Creator”を全国各地に生み出していこうというプロジェクトです。具体的には、誰でも無料で受講できるWEB上の動画カリキュラムを用意していて、情報編集講座でRethink視点を、デザイン講座でクリエイティブのスキルを学ぶことができます。さらには、その学びをアウトプットする場としてコンテストも用意しています。ほぼ未経験の方でも始められることや、東京だけではなくローカルの方々への学びの機会を提供する、ということがテーマです。ローカルに根ざしたクリエイターを生み出していくことで、全国各地の地域の魅力をその土地の人が発信したり、将来的には、地域の課題を土地の人が自ら解決することができるようになることを目指しています。

——“Rethink”とは聞き慣れない言葉ですが、どういった概念なのでしょうか?

大平さん(JT):RethinkはJT Rethink PROJECTが打ち出している概念です。私たちはたばこを作っている会社なのですが、同時に、たばこを吸う人と吸わない人が共存できる社会を実現できないかとも考えていて。身の回りの日常においても、両者の隔たりってあるじゃないですか。例えば、私は吸わない側の人間なのですが、周りには吸う人が多くて、飲み会とか食事の席で中座して一緒に時間を共有できないことが多いんですね。こうした分断を解決するための方法としては、分煙活動やマナー啓発活動などの環境を変える活動だけではなく、まずはたばこそのものをRethinkしてクリーンにしていくというような視点を変えたアプローチもありますよね。こういった、これまでの“視点を変えて考える”発想も大事なのでは、というのが“Rethink”の根幹にある考えです。

羽室さん:実際に、JTから発売された低温加熱式たばこって、最初はたばこを大好きな人と大嫌いな人の二人が、「俺らが仲良くやっていくためにいいものを考えよう」という思いで生み出されたんですよね。

大平さん:よくご存じですね。そういった吸う人と吸わない人が共存できるように、たばこ自体をRethinkし究極にクリーンなたばこを目指して挑戦を続けることも、私たちJT Rethink PROJECTの活動の一つです。ただ、世の中を見渡すと、地方と東京とか、両サイドとも困っている社会問題って他にも沢山あるじゃないですか。社会問題って真正面から取り組むと、お互いが主張し合う辛い戦いになっちゃいますけど、Rethink視点で少し見方を変えることで、面白く取り組めるようになるんじゃないかと思うんです。だから、Rethinkという思想をもっと世の中に広めたいと思っていたのですが、すごく概念的なものなので、それだけで伝えるのが難しくて。

 

——そこで出会ったのがCREATORS MATCHだったと。

大平さん:羽室さんたちとお話ししてすごくいいなと思ったところが、Rethinkという考え方を持った「人材を生み出していく」というところでした。Rethinkという思想を、クリエイティブの力を使ってアウトプットするという発想はあったのですが、それを作り出す人材をゼロから、しかも全国規模で育成するというのはこれまで考えたこともなくて。これが実現できれば、日本がもっと面白くなるんじゃないかとワクワクしたことを覚えています。

 

——CREATORS MATCHは、10年以上にわたって、全国での教育事業を通じてクリエイティブの仕事を地元で行える仕組みづくりを構築してきたんですよね。

羽室さん:僕たちは「クリエイターが働きやすい世界を作る」ということを目指しています。「働きやすい」=「住むべきところで住む」、だと思っているのですが、デザインの仕事の大半が東京に集中しているので、クリエイターって地元で仕事をするという選択をしづらいんですよね。一方で、その東京に集中している仕事って、よく見ればローカルの仕事も沢山あるんです。地方の街おこしプロジェクトに入った東京のデザイナーが、新幹線で地方と東京を毎月往復していて、という話はよくあるじゃないですか。本当は、ローカルの課題をその土地のデザイナーが解決できる状態が理想だなと思っていて、「学び」と「仕事」を一体化させたプラットフォームを全国で展開してきました。

こうした活動を通じて、ローカルでデザイナーが増えていけば、クリエイターが幸せになるだけでなく、その地域自体も盛り上がっていくのではないかと思っています。というのも、デザイナーってアウトプットの手段を持っているので、その土地の魅力を自分たちで発信し始めたりするんですよね。実際、僕たちの講座を受けた生徒さんがチームを組んで鳥取で街の魅力を発信するフリーペーパーを始めて、今や何万部と流通するものになっていたりします。

——UターンやIターンもそうですけど、地方を活性化する方法って、東京から人をいかに送り込むか、という視点で語られることが多い気がしていて。地元で「育成」するというアイディアは斬新だなと感じました。

羽室さん:長年、講師として全国を飛び回る中で感じたことなのですが、ローカルの魅力を発信することって、首都圏の人や大手企業がトップダウン的に仕掛けても一過性のもので終わってしまうんです。やっぱり人材を送り込むのではなく、継続的にその土地で育てていくことが地方を元気にする一番の方法だと思うんですよね。10年間、全国津々浦々で活動する中で、さっきの鳥取の事例のようなことが多く生まれていて、今回のRethink Creator Projectでは、そういったクリエイターの皆さんを運営側として、一緒に手掛ける立場で巻き込んでいます。

——なるほど。では、今回のRethink Creator Projectでも、受講した人が次は講師役となって新たな人材を育成していくことで、どんどん輪が広がっていくイメージでしょうか。

羽室さん:そうですね。結局僕たちが東京から講義しに行くことにも限界があるので、ローカルでハブとなる人材を育成して、その人たちが次の人材を育てるという風に持続可能な形でプロジェクトが続いていけばなと。

大平さん:将来的にはRethinkクリエイターという雇用の形や、働き方を生み出せればいいなと思います。仮に地方で働き方や仕事に困っている人がいた場合に、Rethinkの考え方を持ったクリエイターという仕事がある、講座を受けたら最終的に仕事につながる、という流れにしたいですね。地元の企業や自治体は課題を沢山抱えているはずなので。また、その人がRethink Creatorになって、別のクリエイターになりたい人を教えるという仕事も生まれると思いますし。

羽室さん:少なくとも日本には1500くらいの自治体があるので、どれだけローカルでそういう流れが作っていけるのかなと思っていて。クリエイターを増やしていくと、僕たちが行かなくても勝手にクリエイターたちで運営できるようになるので、地元の価値観で課題を解決できるようにもなりますし。だから、先生クリエイターになる人たちをもっと増やしたいと思っていて、多くのクリエイターさんに一緒にやりましょう、と伝えたいです。

——持続可能性の秘訣は、そうした循環システムにあると。すでにデザインができる現役クリエイターにとっても色々な参加の仕方がありそうですね。

羽室さん:どんどんそういった方の力はお借りしたいですね。また、純粋にプロジェクトに参加することも、現役クリエイターの方に役立つんじゃないかなと思っています。自分にしかない感覚ってクリエイターにとって重要だと思うんですけど、クライアントワークに慣れてしまうと中々持ち続けることは難しくなってしまいますよね。Rethinkの中の一つの概念である、「より自分の身近な部分を一から考えて直してみる」という要素に触れることで、そういった感覚を取り戻したり、新しく身につけたりすることができると思っています。あと、最近ではクリエイティブ界隈でも、正反対の思想の人や、他職種の人とデザイナーが組む流れがあるじゃないですか。Rethinkには「共創」という要素もあって、クリエイティブとRethinkのような発想をまぜこぜにすることも、何となく時代的に求められているんじゃないかなと思います。

 

——逆に、デザイン的な思考に慣れていない人の方が、「自分にしかない感覚」を持っているかもしれませんね。

羽室さん:正にその通りで、今回のコンテストを学びからやっている本当の意味は、「デザインできない人ほどすごい発想を持っているかもしれないけれど、表現する方法を持っていないがために、それを一切世の中に発信できない」というところだと思っています。講座を通じてアウトプットの方法さえ手に入れれば、僕には想像がつかなかったいろんな魅力を表現してくれるかも、というところに期待していますね。

大平さん:実際、先日東京で開催したセミナー(2018年11月末までオンラインでも視聴可)で、参加者に作品を作っていただきました。その中で、灰皿にサラダを取り分けようとしている写真に「新入社員が灰皿を知らない時代が来る」というコピーを添えたものがあって。そこにはクリーンなたばこがどんどん進化していって先に待っているかもしれない未来が描かれていたんです。ちょっと我々では考えつかない斬新なアイディアで驚きましたね。こういった作品から逆にヒントを得て、今後、新しい商品開発に取り込む機会があったら面白いなと思います。

——12月には、西野亮廣さんや柳澤大輔さんなどが審査員を務めるコンテストも開催されます。どのような応募作品を見てみたいですか?

羽室さん:さっきの話じゃないですけど、世の中の生活者の人がどういう感覚で、何を面白いと思っているのかが知りたいですね。デザインができる方も一度、生活者に戻って応募してほしいなと思います。例えばすごいクリエイターさんでも、家ではお父さんなのであれば、お父さんの顔の方で作った作品が見てみたい。若い人だったら、実家モードで作るとか。

特にRethink Creator賞に関しては、身近な世の中の改善につながるクリエイティブについて改めて考えた時、当たり前かもしれませんが、隣の人や近くの人の話を聞くのが大事なんじゃないかと。親や兄弟姉妹、友達や恋人、もしかすると通りすがりの人に聞いてもいいかもしれない。そうしたフランクな会話の中の気づきを形にできるといいと思います。

大平さん:そうですよね。私たちも企業の中にいた時は新しい発想がなかなか出づらかったのですが、CREATORS MATCHさんとコラボしたら、今回のプロジェクトが生まれたりしたので。同じように、他者とのコミュニケーションの中で生まれる考えが絶対にあると思うので、一人で考えるというよりは、アワードのトピックについて誰かと会話しながら作った方が面白い作品になるんじゃないかなと思います。

羽室さん:賞については、表彰する対象を「この作品でした」ではなく、「この作品を作った誰々さんです」と、人を表彰するような審査にできたらなと思っています。4人の審査員もそういった観点で賞を選んでくれそうな方々にお願いしました。

大平さん:もちろん賞自体の華やかさや賞金もありますが、受賞者以外でも、面白い作品はRethink PROJECTのサイトに掲載して、積極的に発信していきたいと思っているので、世の中に作品を発信できる機会として、ぜひご活用いただきたいですね。

羽室さん:持続可能な形で続けて行くためには、全国のクリエイターの方のご協力が必要だと思っています。今年の参加者の方を巻き込みつつ、来年は更に大きいプロジェクトにしていこうと考えているので、まずはコンテストに応募して輪の中に入っていただいて、このムーブメントの未来を一緒に作って行きましょう。

>>Rethink Creative CONTEST

PROFILE

羽室 吉隆

自動車メーカーにてカーデザイナーとして勤務後、グラフィックデザイナーに転身。デザイン事務所、フリーランスを経て、2014年CREATORS MATCHに参画。クリエイター育成事業を立ち上げ、フリーランスクリエイターの働き方改革を推進。自身もクリエイターとしてデザインを手掛けながら、日本各地でデザイナー養成講座の講師を務めている。

PROFILE

大平 崇依

カナダ・ブリティッシュコロンビア大学卒業。三菱電機にて海外営業、ヘンケルジャパンにてマーケティングを手がけた後、JTに入社。自身がたばこを吸わないからこそ、真に吸わない人の立場に立った取り組みがしたいという思いから、JT Rethink PROJECTに携わっている。

<Credits>

Rethink Creator PROJECT

▽プロデューサー、代表講師
羽室 吉隆(クリエイターズマッチ

▽プロジェクトメンバー
呉 京樹(クリエイターズマッチ
岡村 佳浩(クリエイターズマッチ
上森 正廣(クリエイターズマッチ
大平 崇依(日本たばこ産業

▽プロジェクトマネージャー
羽室 吉隆(クリエイターズマッチ

▽PR
針谷真吾(プラチナム

▽地域代表Rethinkクリエイター
田中克幸(北海道)
寺越真知子(北海道)
大久 僚一(宮城)
澤崎佐知子(東京)
下田裕美(東京)
渡邉 綾佳(神奈川)
平山実(愛知)
月見啓子(奈良)
亀井智子(鳥取)
長野祐子(鳥取)
細田 香織(鳥取)
秦亜紀子(島根)
大草快貴(山口)
平野実子(福岡)
堀尾美樹(福岡)

渡辺高志(福岡)
中村仁(熊本)
前山田 留美(沖縄)

▽講座映像制作
クリエイターズマッチ
アイフォスター

▽講座制作協力
株式会社編集工学研究所
イシス編集学校

▽Webサイト制作
和田 順也(つなぐ

▽セミナー会場協力
デジタルハリウッドSTUDIO札幌
デジタルハリウッドSTUDIO仙台
米子市公会堂
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(OBPアカデミア)
クリエイティブセンター福岡
熊本パレア(熊本市後援)
水俣環境アカデミア(水俣市後援)
萩・明倫学舎(萩市後援)
Rethink Lounge

▽自治体協力
熊本市(後援)
水俣市(後援)
萩市(後援)

関連記事

  1. 古市憲寿の「チョコレートとジレンマ。」

    READ MORE
  2. “からあげクン”が登場!? フードデコレーションと撮影のコツを学ぶ「ローソンインスタ研究所」レポート vol.4

    READ MORE
  3. 個の集合体で、これからのクリエイションを切り拓く。【後編】

    READ MORE