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「2020年、東京のナイトシーンが盛り上がる」
トランジットジェネラルオフィス、リアルゲイト代表対談【後編】

中村貞裕(トランジットジェネラルオフィス)× 岩本裕(リアルゲイト)

東京カフェブームを牽引した「Sign」などのカフェやレストランの運営など約100店舗を運営し、世界最速の移動美術館「GENBI SHINKANSEN」などの話題となる空間プロデュースを行う株式会社トランジットジェネラルオフィス。そして、2009年に設立され、デザインコンシャスな大型SOHOビル「the SOHO」の運営を皮切りに、現在は中目黒の「THE WORKS」や表参道の「PORTAL POINT AOYAMA」など、都内に約45棟のシェアオフィスやイベントスペースを企画から運営まで手掛ける株式会社リアルゲイト。同社の手がけるオフィスは、常に満室状態が続くほど、感度の高いクリエイター達からの支持を受けている。その二社を率いるのが中村貞裕氏、岩本裕氏の2人のプロデューサーだ。空間、不動産、それぞれのバックグラウンドを活かし、東京に新たな風を吹き込んでいる。

仕事の背景に迫った前編に続き、後編では、2人が考える現在の東京の魅力、そして東京オリンピック以降の東京について伺った。ホテルや複合型施設が開発のトレンドとなる昨今、東京のライフスタイルはどのように変化していくのだろうか?

「東京には夜の遊び場が足りていない」

ーーお二人は東京をベースに事業をしていますが、いまの東京の魅力って何でしょうか?

岩本さん:コンパクトな中に多くのお店が集まっていることですね。面白いし、便利で住みやすい。例えば、さっとジムに行って、近くのカフェで打ち合わせをして、というように街のあらゆる場所をライフスタイルに合わせて、共用部として使える。その近さが魅力だし、好きですね。

中村さん:東京の街には多くのカルチャーが混在していて、パリ、ロンドン、ニューヨークのような都市と肩を並べるポテンシャルがあると思っているんですね。ただ、最近は上海やシンガポールの勢いに押されてしまっていて、それがすごく悔しいんですよ。

僕の中で東京のコンペティターシティはカルチャーがミックスし蓄積されているニューヨークなんです。いまは国ではなく都市がプレゼンスを発揮する時代だと思うんですよ。「Made in America」にブランド力はほとんどなくって、「Made in Portland」のように都市がブランドになっているじゃないですか。

森ビルの創業者である森稔さんもまた、「都市の発展なくして国の経済発展はない」と仰っていて。であるならば、大好きな日本のために東京を盛り上げることこそが僕の役割だなと。そうした思いから僕も独自に「HOT TOKYO」というコンセプトを打ち立てて事業を展開しているんです。

ーー都市という意味では、東京オリンピックに向けて東京が大きく変化していくことが予想されますね。実際インバウンド需要を見越して、ホテルや複合施設の開発がトレンドになっています。お二人は2020年、そしてその先の2021年以降、東京はどんな変化をしていくと思いますか?

中村さん:まず間違いなく「ナイトシーン」がキーワードになると思いますね。

 

ーーナイトシーンというと、クラブ、バーといったスポットでしょうか。

中村さん:そうですね。東京は夜ご飯食べた後に遊ぶ場所がないんですよね。そういったナイトスポットは海外では当たり前のように存在しますから、オリンピックに向けてどんどん増えていくのではないでしょうか。

具体的にはクラブ、バー、そしてホテルですね。トランジットジェネラルオフィスがプロデュースした目黒のホテルCLASKAは「ホテルのロビーで遊ぼう」ってコンセプトだったんですよ。エースホテルが有名になってからはスタイリッシュで遊べるホテルが市民権を得ましたが、実は僕らはそのずっと前から遊べるホテルをつくってたんですよね。ラウンジは、イベントが行われ宿泊客以外の方も交えた社交場、ナイトポットとして機能する。東京にも小洒落たビジネスホテルは増えてきましたが、ニューヨークのように本当にわくわくするホテルはまだありません。

なので、今はトランジットで本気のホテルをつくりたいなと思っているんですよね。メンバーシップ制のバーや洗練されたカフェ、気軽に利用できる食堂やイベントが毎日のように行われているラウンジ、ジムや、ルーフトップもあるといいですね。あと、ニューヨークでいま流行っているんですが、仮眠スペースもつくりたい。ふらっと立ち寄って30分眠れるような。良い香りと、落ち着いた照明の中で質の良い睡眠ができたらおもしろいなと。

ーーぜひ、そのホテルに泊まってみたいです。

岩本さん:小さくても確固としたテイストのある強いお店が並んでいるといいですよね。そうしたお店には、不動産や周辺地域はもちろん、街全体の価値を上げていくだけのパワーがあると思います。

中村さん:また、ナイトスポットではないですが、才能のある若い世代と組んで新しいイノベーションレストランを生みだしていきたいなと。世界的にもそうしたお店が増えてきているのですが、それがホテルやシェアオフィスの中にあってもおもしろいですよね。

「分ける」ではなく「膨らませる」。シェアの価値観をアップデートするプロジェクト

 

ーーホテル、シェアオフィス、いずれも充実した共用スペースに価値が生まれていくのですね。

中村さん:そうですね。ただ、シェアという価値観に関しても、もう一歩前に進めるというか、成熟したものにしたいですね。シェアのメリットって、コストが抑えられることだけではなく、1人じゃできない贅沢を体験できることだと思うんですよ。マンションの住民が協力してロビーに有名なアート作品を買うこともできますし、シェアオフィスでは共有の社用車やヨット、クルーザーを持つこともできますよね。

岩本さん:うちは45棟の物件と、1200人の入居者を抱えているのですが、入居者特典として、イベントスペースを利用できるキャンペーンやオーガニックスナックの提供をしています。またオーシャンビューの保養施設をつくれたらと計画しているんですよ。

 

ーー「分ける」というよりも「共同で膨らませていく」ためのシェアという考え方ですね。

中村さん:シェアオフィスを運営する人たちの中で、ここまで夢を描ける人って多くないと思うんです。だからこそ、そこで差別化したいんですよね。こちらの描く夢に共感して魅力的な人が集まれば、そこでの出会いにもワクワクできるじゃないですか。

岩本さん:使いやすく、デザインがよくて、共有部のあるオフィスというものが一般化する中で、それ以上の夢を描けるような空間を提供したいんですよ。

中村の言葉は非現実的に思われることもありますが、それぐらいがちょうど良いんですよ。やっぱりみんなそこに夢を見ますから。そうした夢を見せてくれるのが、クリエイターとも言えるかもしれません。中村もまたクリエイターのように採算度外視で夢を語りますが、そういう制約をとっぱらって考えられないと本当に面白いものは生れませんから。

 

ーークリエイターとビジネスをする上で心がけていることはありますか?

岩本さん:私は彼のアイデアをビジネスに繋ぐ通訳のようなものです。クリエイティブなビジネスをしたいのであれば、お互いの言語で話ができないと形にできないんですよ。逆にうまく進められると、必ずお金以上の価値が生まれてくる。それは中村や多くのクリエイターと仕事をするなかでの学びでしたね。

中村さん:そもそも仲良くなりたいって人とだけ仕事をするので、気持ちよく働いていただくための方法はスタートから徹底して考えなければいけないんですよ。

岩本さん:依頼する立場の人ってクリエイターへのリスペクトを忘れがちになるんですけど、それは絶対やっちゃダメなんですよね。クライアントの関係性を超える間柄をつくれるか。そういう心がけがなければ、面白いものはつくれませんからね。

一棟のビルから街を変える小さな再開発

ーー最後に、お二人がこれから手がけていく仕事の展望を伺えますか?

岩本さん:オリンピックを控えて大きな開発が進んでいますが、私たちは商店街やビル一棟といった小さな単位での再開発を行い、面白い場所を沢山生み出していきたいですね。一つ、面白い場所があれば連鎖して新しいお店が生まれていくんですよ。原宿のキャットストリートはそうして生まれたものだと思いますし、私たちの手がけた中目黒の「THE WORKS」も駅からは離れた立地ですが、周辺にアパレルのお店やギャラリー、飲食店などが増えてきています。

「THE WORKS」外観。一階はレストラン、コーヒーバー、三階から五階はレンタルオフィスとなっている。(提供:株式会社リアルゲイト)
一階に併設されている「The Workers coffee/bar」。シェアオフィス入居者のみならず、近隣住民や中目黒を訪れた買物客も多く立ち寄り、連日賑いを見せている。(提供:株式会社リアルゲイト)

岩本さん:現在ビル一棟をプロデュースして貸し出す、「オーダーメイドビルディング」という事業を行っています。小さくても、自分の城を持ちたいという需要は増えてきているんですよ。最近では働き方改革が叫ばれ、大企業が入居するシェアオフィスが増えていますよね。でも、本当にクリエイティブな少人数のスタートアップが求めている場所は、自由に自分の世界が築ける場所だと思うんです。

こうした開発手法はアメリカでは一般的なんですが、日本では法律の問題や、貸主の意識の違いもあり、まだ普及していません。僕らがその市場を切り開くことで、シェアオフィスの次のムーブメントをつくっていきたいですね。

中村さん:僕はあまり先のことは考えられないので、先ほど申し上げたように、いまつくりたいと思っているホテルや複合施設を形にしていくことですね。東京オリンピックの大会期間は一ヶ月ほどですが、開催までの一年間はおそらく世界中のメディアが東京特集を組むと思います。つまりニューヨーク、パリ、ロンドンなど世界中の目が東京に向くということなんです。東京で事業を行う僕らにとって、これ以上ないチャンスですよね。そこで私たちが中心になってプレゼンスを発揮し、東京の面白さを世界に発信していきたいですね。

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