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「ものづくりの輪でリゾートをつくる」
プロフェッショナルが集うダダビが広げるものづくりの輪。

株式会社ダダビ

クリエイターとして自身の専門性を極めながら、未経験領域へのチャレンジや新たな人との出会いを担保することの難しさ。自ら手を動かし担当領域を一人で完結できてしまうタイプのクリエイターほど強く感じる課題かもしれない。大手ポスプロ勤務後にフリーランスのエディターとして活動していた足達一秀さんもその一人だった。

「エキスパート同士が集うことでもっと大きな枠組みをつくれるのではと思っていました。」と当時を振り返る足達さん。2015年8月、3人の仲間と共に「ダダビ」を設立すると、その思想に共鳴した実力揃いのエディター、ディレクターが集うようになり、少しずつメンバーは増えていった。

設立から4年が経ったいま、サウンドデザイナーやグラフィックデザイナーといった多様な職種のクリエイターも所属するようになり、マネージャー、PRスタッフを含めて総勢29人が名を連ねるものづくりカンパニーへと成長。指名で仕事を受けるクリエイターが大半を占めるようになり、”エキスパート同士が集う”場という当時の構想を見事に実現した。更に昨年からは、オリジナルプロダクトの開発や自社のコンセプトを映像に落とし込んだMVなど、社内のクリエイターによる自主制作も積極的に行っている。

順調にクリエイターの輪を広げているダダビの魅力はどこにあるのだろうか?自由で朴訥とした足達さん、マネジメント目線で全体をきゅっと引き締める渥美佑一さんという2人の創業メンバーに加えて、フリーランスを経て入社したエディター兼ディレクターの宮田裕一さん、新卒入社のエディターのヒラタコナツさんに話を聞いた。

ものづくりで、楽しさやつながりを生み出す中心でありたい

原宿のメインストリートを過ぎて徒歩5分ほど。都心にありながら、静かでほどよく生活感がある場所のビル2階にダダビのスタジオはある。スタッフが手掛けた映像を、皆で集まって試写することもあるというスペースには、初夏の気持ちよい風が吹き抜ける。代表の足達一秀さんは、ポスプロ勤務ののちに3年ほどのフリーランス期間を経て、友人3人と共にダダビを創業。スタッフが次々と増えて20人を超えた今も、個が会社に埋もれることなく、「一人ひとりがエキスパートとして能力を発揮する」という働き方を掲げ、実践している。

ーー今、副業やフリーランスなど“個”を生かした働き方が広がる中で、フリーランスでも十分に仕事を続けられるのに、なぜあえて会社化したんですか?

足達さん:ポスプロにいた時から外の会社だったり違う職種の人と接点を持ちたいなと感じていて。フリーになって開けた感があったんですが、さらに横のつながりをつくってみたいな、と思うようになって、いろんな人が集うことに可能性を感じてダダビを創業しました。

ダダビ CEO・足達一秀さん

ーー「いろんな人が集うことの可能性」というと?

足達さん:編集という領域に限れば一人でやっていくこともできるとは思うんですけど、もっと他のこともやってみたいと思った時に、「映像編集の足達」がそんなこと考えてると知ってもらう機会もないし、声もかからない。単純に一人でできる限界もありますし。でも、いろんな職種のクリエイターが集ったダダビという受け皿があれば、映像編集の枠にとらわれない形でも、いろいろ挑戦できるチャンスが増えるんじゃないかと思ったんです。

渥美さん:職種的には今も編集が多いですが、サウンドデザイナーやグラフィックデザイナーなど普通はポスプロにいないクリエイターも所属しています。ダダビ全体としてクリエイティブに関わる領域を広げたり、社内のクリエイター同士の化学反応を増やしていきたいと思っています。

ダダビ COO・渥美佑一さん

ーーそれは珍しいですね。CMやMVなど、誰もが知る大企業や人気アーティストの作品を次々と手掛けながら、自主制作企画にも積極的なんですよね?(ダダビのworksについてはこちら

渥美さん:そうですね。面白いことをやろう、社員のやりたいことを後押ししようという考えがベースにありますが、会社やスタッフを外部に知ってもらうきっかけにもなっています。実際、自主制作を見てくださった方から仕事の依頼が来たり、一緒につくった外部のクリエイターさんと別の仕事も一緒にするようになったりと、次の機会にも繋がっています。


自主制作CM「新しい靴下」
ダダビが自主制作した、オリジナルプロダクトの靴下のCM。ディレクターの安村栄美さんがたまたま聴いた楽曲を気に入り、映像のイメージが浮かんで、企画書を足達さんらに自主的にプレゼンし実現。

 

ーーダダビが外に広がっていくきっかけになっていると。お二人の名刺には会社のミッションとして「ものづくりの輪で、リゾートをつくる」と書かれていましたよね。

足達さん:僕、もともと旅行が好きなんですが、観光地や温泉街って楽しいっていうか、なんか行きたくなるんですよね。その場所がつくる一体感とか独特な雰囲気とかすごく魅力的じゃないですか。創業時から、ダダビもそんな風になれればと思っていて。話は少し飛びますが、どこか遠くに旅館をつくりたいね、みたいな話はしていました(笑)。

渥美さん補足すると、例えばリゾート地にはいろんな温泉や観光資源、宿泊施設、料理屋さん、お土産物屋さんがあるじゃないですか。それらが全体としてお客さんにリゾートの体験を提供していると思うんです。そんなふうに、ひとつの街の中にダダビもあり他社もあり、社内外問わずみんなを巻き込んでおもしろいことをしていくイメージです。社内でやれることも増えているし、さらに他社と力を合わせれば面白いことができるんじゃないかなと。ものづくりで、楽しさやつながりを生み出す場になって、お客さんにまた来たい、お願いしたいって思ってもらいたいですね。

「ディレクターもやってみたい」「全然いいよ!」

創業時から映像編集にこだわらず、活躍する領域をどんどん広げているダダビ。その社風に惹かれ、3年前にほとんど初期メンバーとして入社した宮田さん、そして昨年に新卒入社したヒラタさんは、ダダビで今どんな手応えを感じているのだろうか?

ーー宮田さんは、3社ほどポスプロを経験して、フリーも経てダダビに入ったそうですね。どんな決め手があったんですか?

宮田さん:たまたま最後の会社を退職したタイミングでいくつか仕事の話をもらい、ひとまずフリーでがむしゃらにやっていたら1年経っていました。この先もフリーでいくか決め切れていなかったとき、足達さんに声をかけてもらったんです。実際に面接というか、事務所で話を聞いたら、全然会社っぽくないなって(笑)。

ーーなるほど(笑)。これまで勤めていたポスプロとは全然違うな、と?

宮田さん:そうですね。自由な感じがしましたし、“エキスパートの集団”を目指している感じも自分の志向性に合っている気がしました。それと、各クリエイターにマネージャーがついてスケジュール管理などを任せられると聞いて。そういうのが苦手だったので、それは助かると思いました。

ダダビ エディター兼ディレクター・宮田裕一さん

ーーマネージャーの方がいるんですね。いわゆるポスプロの営業担当とは違う?

渥美さん:そうですね。どちらかというと、クリエイターのマネジメント会社のマネージャー業務が近いです。僕がもともとそういう立場で創業メンバーの他の3人を後方支援していたので、その立場のスタッフを数人に増やしているのが今という感じですね。客観的にアドバイスをしたり、相談に乗ったり、クリエイターを売り込んだりもします。

ーーそれはいいですね、制作の本業に集中できそうです。入社して3年の間の印象に残っていることは?

宮田さん:ずっと好きだった監督の仕事がダダビに来て、「ミヤッチずっと好きって言ってたから!」と振ってもらえたことはうれしかったですね。一人でやっていたらこういう機会はなかったと思う。一方で、以前のつながりも途切れることなく生かせていて、自分のネットワークを広げながら経験を重ねられていると感じています。それと、ディレクターにも挑戦できたことが、この3年間では大きかったです。

ーー実際の撮影の演出ができた、ということですか?

宮田さん:そうなんです。もともと、学生のときは監督をやりたいと思っていたんですが、エディターをする中で改めて「自分でつくったらどうなるんだろう」と考えるようになって。会社に相談したら、応援するから機会があったらやっていこうよ、と言ってくれたんです。それで、知り合いに「最近映像をつくりたいんだけど」と言ってたら、プロダクションを挟んで本当に仕事の打診がやってきた。ずっとやりたかったことだったので、とても楽しかったですね。今後もどんどん、ディレクターの仕事を増やしたいです。

ーー自分から手を挙げて、職種まで広げていける環境なんですね。ではヒラタさん、新卒入社された経緯をうかがえますか?

ヒラタさん:私は美大でも映像の専門学校でもなく、普通の四年制大学に通っていましたが、好きで映像の編集をやっていたんです。放送研究会に入っていて、学園祭の間に撮った映像を当日に編集して最終日に流すとか、好きな映像をコマ送りでじっくり見るとか…そんなことですが、これを仕事にできたらいいなと思っていました。ただ、規模が大きくて決まり事が多そうな会社は、自分の性に合わないと思っていて。自由に働けそうで、実技もちゃんと見て判断してくれる会社を探す中で、ダダビを知りました。

ダダビ エディター・ヒラタコナツさん

ーー面接、どうでしたか?

ヒラタさん:役員の3人と私、という面接だったんですが、空気感がすごく楽しかったんですね。その時点で、ここに入りたいと思いましたし、採用をもらってすぐに決めました。長く下積みをするというより、どんどん現場に出してもらえることも、私はいいなと思いました。

ーー実際、どんどん現場に出ているんですか?

ヒラタさん:そうですね。特に、入社して割とすぐに複数人いるエディターの一人として入った案件がとても難しく、さらに気づいたらチーフエディターになっていて(笑)。でも、すごくこだわりのある、クオリティーに妥協しない方々と一緒に仕事ができたので、勉強になりました。その後の案件は、何が起こってもあまり動じなくなりましたね。新卒で若手でも、意見をないがしろにされたりすることがダダビでは一切なくて、ちゃんと考えてもらえる環境なのがすごく働きやすいです。

スタッフの個性を伸ばし、会社も伸びていきたい

未経験、新卒のヒラタさんの採用理由を、渥美さんは「ただただ映像が好きで、自主的に取り組んでいる感じがすごくよかった」と話す。“好き”より強いものはない、とよくいうが、ヒラタさん自身も「映像が好きな人ならダダビの仕事は楽しめると思う」という。

ーー若いスタッフや自分でやりたいことを提案するスタッフが増えて、実際に新しい取り組みも生まれています。今、どんな手応えがありますか?

足達さん:数年前は「ダダビって編集の会社ですよね」と言われることが多かったですが、最近は「いろいろやってますよね」と言われたりしています。それはちょっとうれしいですね。

 

自主制作PV「PURE」
楽曲の作詞作曲、MVの企画制作・編集、コンポーザーやレコーディングエンジニアまでダダビ社内で手掛けた作品「PURE」。ボーカルはなんと広報さんが担当。


渥美さん
:創業からこの数年は、一人ひとりが自分の仕事をめちゃくちゃ頑張って成長してくれて、指名を取れるようになったりして、それで会社も成長し知名度もあがってきました。だから今後は、会社がもっとそれぞれの「こういうことをやりたい」という希望を後押しして、スタッフに貢献していきたいと思っています。


例えば、去年から面談の場を定期的に設けるようにしたんです。目の前の仕事に没頭していると先のことを考えにくくなってしまうじゃないですか。仕事を着実に進めながら各々が好きなことに挑戦できるように、そこで目標を聞いたり、相談に乗ったりしています。

ーー業務内容も、志向性としても“個”で進める傾向が強いと、その中でやりたいことをやってもらうと会社としてなかなか統制が取れないのでは…という気もします。そういう状況下での課題はありますか?

渥美さん:当然、人の数だけ考えが違うので、創業時よりは難しいですね。職種が広がったり人数が増えたりして、お互い何やってるかが分かりづらくなってきたので、毎週みんなのWORKSをまとめて共有することを始めました。他にも、雑誌に掲載されている動画や、映像に限らず面白そうなものを紹介するクリエイティブ通信を配信したりして、知識を広げたり刺激を受けたりする機会もつくっています。

足達さん:業務と自主プロジェクト、会社と個人の、バランスが大事ですよね。今日ここにいる2人もそうですが、自主性があるので、放っておいてもどんどんやるんですよ。ただ、本当に自分だけで自由にやるなら、それってダダビじゃなくてフリーのほうがむしろいいんじゃない? って話になるので。メンバーの職種も広がってきましたし、今後は個々
でつくるだけではなく、チームとしての輪も可能性もどんどん広げていければと思います。ものづくりを突きつめつつ新しいチャレンジもできる場所なので、何か自分の中で一つ軸やこだわりを持ってる人にはぜひ来て欲しいですね。

 



Recruit Information

ダダビではものをつくる喜びとやりがいを共有できる、新しい仲間を募集しています。ディレクター、エディターをはじめ、“つくる”ことへの情熱を持ったクリエイターの方も歓迎します。

詳細はこちらをご覧ください。
>>https://job.cinra.net/company/dadab/

 



CREDIT

Interviewee:Kazuhide Adachi, Yuichi Atsumi, Yuichi Miyata, Konatsu Hirata(dadab)
Coordinator:Yuka Ito(dadab)
Editor / Writer:Tomoko Takashima
Photographer:Fumihiko Ikemoto
Director:Koujiro Ichimura(BAUS)
Producer /Account Exective:Yuki Yoshida(BAUS)
Location:dadab


 

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