「ブライダル業界の構造改革 、結婚式であふれた世界を創る」をミッションに掲げる株式会社REXIT。2016年の設立以降、ウエディングプラットホーム事業「Choole(チュールウエディング)」、マッチングサービス「gensen wedding」、そのほかウエディングに特化したコンサルティングや人材紹介など幅広い事業を展開しています。時代の変化に伴い、人々の結婚観がアップデートされていく中、インターネット事業の知見を生かし、REXITはどのような「結婚式」のあり方を提示していくのでしょうか? 同社の目指すビジョン、ブライダル業界の抱える課題、そして今後のサービスの展望を代表取締役社長の安藤正樹氏、ウエディングプランナーとしての豊富な経験携え、創業時よりREXITに参画したディレクターの神田裕子氏に伺います。
多様化する価値観。オーダーメイドな結婚式を一人でも多くの人に
ーー結婚式を行わない、親族や親しい友人のみを呼ぶ、オリジナルな結婚式のあり方を模索する。若い人を中心に結婚式に対する価値観は大きく変わっているように感じます。安藤さんは、こうした変化をどう捉えていますか?
安藤さん:世の中の価値観が非常に多様化していますよね。終身雇用から「個人」の時代に。女性の社会進出も活発に。そして結婚をされるカップルの理想とする式のあり方も、夫婦の数だけあります。
そして、SNSを通じて様々な情報を得られるようになりました。「こんな風な結婚式のやり方もあるんだ」と、かなりの選択肢が広がっていると思います。こんなにも多様な結婚式が選べる時代はこれまでになかったのでは無いでしょうか。
安藤さん:選択肢が増えた反面、どうすれば自分の理想とする式が実現できるのかわからないという方がいらっしゃるのも事実です。とはいえ、お客様の声に耳を傾け、自由度の高いプランを実現できる結婚式場は、実は増えているんです。
ーー保守的な業界のような印象がありますが、実は変化していていると。
安藤さん:ブライダル業界のマーケティングが追いついていない部分もあるとは思いますが、情報のミスマッチが原因だと思います。
ーー情報のミスマッチ?どういうことでしょう。
安藤さん:お客様自身が結婚式を行うことは基本的には初めてですよね。そのため、チャペルや料理はイメージは出来ても、ディティールの部分や、そもそもどんな式にしたいのかがわかっていないことも少なくない。そして、それを知るための方法が無い。しかし、そのミスマッチを解消することさえ出来れば、誰もが理想通りの式を挙げられると思います。
ーー結婚式を行う上では、親御さんの意見も強く反映されますよね。Webで招待状を送る、引き出物を宅配で手配するなど、これまでの常識とは違ったプランに反対意見はありませんか?
神田さん:親御さんが体験してきた式のあり方を「こうあるべき」と考えている人も多いです。実際「招待状は紙じゃないと失礼にあたるのでは?」という声もあります。とは言え親御さん世代も若くなっていることもありますし、常識も時代に合わせて徐々に変化しているように思います。
ーーゆっくりではあるものの、確実に変化していると。
神田さん:そうですね。一生に一度のイベントですから、親御さんの喜ぶ形を選択し、今まで通りの式を選んでいる方もいらっしゃいます。ただ、Webで招待状を送ることも数年前は不安視されていましたが、今では一般化しつつあります。お客様の気持ちに合わせて自由に選べることが大事なんです。
安藤さん:そうした考えから、お客様の理想に合わせて自由な結婚式をサポートする「Choole」というプラットフォームを運営しています。
ーー持ち込み不可など、式場ごとの縛りが厳しい印象がありましたが「Choole」ではかなり自由な選択が出来るんですね。
安藤さん:「Choole」には自由度の高い式場やドレスやお花などの関連企業さんが参加してくださってますね。なので私たちとしては「業界を変える」ではなく「変わってきている」ことを正しく伝えていきたいんです。理想としている式が、実はそこにあるんですよと。
「人生最高のイベントをやらないのはもったいない」。REXITを立ち上げた代表の思い
ーーそもそも、安藤さんはなぜリクシィを起業しようと思ったのでしょうか?
安藤さん:私は、結婚式は絶対やった方がいいと思うんですよ。自分の大事にしている人達が一斉に集まる場って、おそらく結婚式しかないんです。結婚式でしか生み出せないものがいくつもある。家族との関係が良くなることもあるし、ゲストの心にも何か残るものがある。「人生最大のイベント」をアンケートにとると、1位は出産、2位は結婚式という結果が出るんです。しかし今、結婚式をやらない人っていうのが約45%いるんです。こんなに素敵なイベントを行わない人が増えているっていうのは業界側の責任だと感じたんですね。
ーー業界の抱える課題を解決するため起業したと。ただ、金銭的な理由から親族のみで行う式も増えていますよね。
安藤さん:私自身は、結婚式の本質は人生の節目に人に集まってもらい、2人の関係を認めてもらうプロセスにあると思うんです。盛大な披露宴ではなく、ささやかでも人が集まる場を作ることが大事なのではないでしょうか。私はスケジュール上、友人や仕事関係の人、全員に集まってもらうことが難しかったので、3回結婚式をやったんですよ(笑)。
ーー3回!素敵です。それはかなり珍しいケースですよね。
安藤さん:僕はちょっと極端な例ですが、それぐらい自由で良いと思っているんです。
ーーなぜ、式場ではなくプラットフォームを運営しようと考えたんですか?
安藤さん:結婚式場だと大きなシェアを持っていても数%です。それに式場の立場では他社と競合になってしまうので、業界を通じての協力体制を作りにくい。でもプラットフォームの立場から、業界を巻き込んで変化を起こすことが出来るんです。するとウエディングのオペレーション、インターネットビジネスの知見、両方を持っていないと難しい。そして、情熱を注げる人。周りを見渡して、先頭切ってやれるのは自分しかいないんじゃないかと思いましたね。
神田さん:私も元々は結婚式場で働いていたのでわかるのですが、そうした業界の課題は、お客様には関係ないんですよね。プラットフォームという俯瞰した立場であれば、より広いお客様に幸せを届けていくことができる。式場とお客様のために協力することができる。こういう立場からウエディングに関われる会社というのは、今のところREXITしか無いんです。私自身も安藤のビジョンを聞いて、創業時に入社しました。
安藤さん:結婚式場も課題を感じているし、応援してくれている。仲間が増えていっている手応えはありますね。既存のウエディングプラットフォームも多くは広告モデルで成り立っています。すると結局は資金力のある会社さんが勝ち残るんですよね。ただ、それで本当にいいのかと。根本的な問題を解決するためにはビジネスモデルごと変える必要があると思っています。
ーーそうして、「Choole」をスタートさせたと。REXITでは「gensen wedding」など他のサービスも展開をされていますよね。
安藤さん:お客様向けには「gensen wedding」「Choole」という2つのサービスを運営しています。「gensen wedding」は弊社が対面で結婚式場やパートナー企業とのマッチングを行うサービスですが、ウエディングプラットフォームの「Choole」は、それをWeb上に置き換え、ソリューションを提供しています。どちらにも共通しているのは自分らしい式が実現できること、を提供していることですね。
神田さん:「Choole」はより広いニーズに応えるWebサービスになりますが、「gensen wedding」は新郎新婦、それぞれに理想がある中で、ハードだけではなく、結婚式の内容からベストな式場選びができるようサポートしています。体験に基づいてしっかりマッチングしているからこそ、多くの方にご利用いただくことが出来ているのかなと思います。
ーー体験、とは具体的にどのような要素でマッチングを行うのですか?
神田さん:運営会社ごとの方針を踏まえた上で施設がどれだけ充実しているか、スタッフがどれほどきめ細やかなサービスをしているか。ハードとソフトを総合的に拝見して、弊社の基準に満たした式場だけをご紹介しています。例えば会場やガーデンを実際に利用できる時間や演出内容、料理やサービスですね。細かな部分のようですが、そうしたディティールが式全体の印象を左右することになるため、丁寧なディレクションを心がけてます。
ーー各企業さんに対して、かなり広く、深い知識が求められますね。
神田さん:パートナー企業に取材を行い記事を発信しています。結婚式場の魅力を弊社が紹介している形ですね。
各企業様の話を伺っていると、すごく魅力的な部分も「当たり前のこと」という感覚でいらっしゃるんです。他の式場でどのようなサービスが提供されているのかを知らないと、自社の魅力に気づくことが難しいんです。
ーー業界を横断して、確かな情報が集まるからこそプラットフォームとしての価値も固まりますよね。
神田さん:第三者の目線から伝えることでお客様にとっても説得力が増します。各式場の個性がプラットフォーム上に集まっていけば、お客様にも自分の求める式を見つけてもらえるのではないかと思っています。
ーー神田さんがご自身が取材をされるんですね。
神田さん:弊社は部署ではなくサービスごとにチームを組んでいて、基本的には様々な役割を兼任しています。私自身、各企業とのリレーション構築や取材のほか「Choole」「gensen wedding」のサイトのテキストやコピーライティングを行うこともあります。
安藤さん:プロジェクトでチームを組むのでデザイナーやエンジニアにもしっかりお客様の声が届きます。それをサービスに反映させ、成長させていく。全員がサービスに向き合うことでいい循環ができるのではないかと思います。
矛盾のないサービスで、ウエディング業界を変えていく
ーー業界の課題を解決していくために、どんなことをやっていくのですか?
安藤さん:ただのマッチングでいいならここまでやらないけど、僕らはそうじゃないので。 結婚式の価値観自体が自由になり、やりたい結婚式が実現できるようしっかりと橋渡し役になって、お客様と企業様のサポートしていきたいと思っています。
神田さん:「理想としていた式を自分たちが挙げられると思わなかった」という声をお客様からいただきます。自分たちだけでは辿り着けなかったであろう式場と、「gensen wedding」や「Choole」を通じて出会えたことで理想の結婚式を実現できたと。こうした声をいただけるのは、単なる紹介事業としてではない関係を結べた結果だと思うので、本当に嬉しくなりますね。
ーーなぜ、そのような関係を築けているのだと思いますか?
神田さん:式場の立場では、その場所で出来ることに限られますが、プラットフォームならば広い視点からお客様のニーズにあった提案ができますよね。正直、プランナー時代はもどかしい思いを抱えてしまう場面もあったのですが、今は心に何の矛盾もなく仕事をできるようになりました。
ーーサービスの設計に矛盾がないから気持ちよく働くことができると。それはお客様にも伝わりますよね。
神田さん:いろんな式場から提案でき、幅広い候補から選んでいただくことができるので、プランナー経験者からすると良いところだけをやらせてもらっているようにすら感じます。各式場の方とも関係が結べて、お客様の幸せのために連帯できている。業界を良い方向に変えていける実感もありますし、ウエディングプランナー時代以上のやりがいを感じています。
安藤さん:これまでは経営者が目の前のお客さんに向き合っていれば成り立ってきた。ネットを取り入れず、古い価値観の中で運営する企業も少なくありません。するとウエディングが好きで仕事についた若い方が業界から離れてしまう。でも毎週のようにお客様の人生の最高の瞬間に立ち会える仕事なんて他に無いですから、本当は続けたかった人って結構いるんですよね。
ーーそうした人の受け皿になりたいと。良いサービスをつくることが、人材の問題の解決にも繋がっているんですね。
安藤さん:そうですね。そのためにもビジネスモデルを変えていきたい。もっとチームを大きくしていきたいのですが、この業界はWebに関する知見を持ったディレクター、デザイナーやエンジニアといった技術者が圧倒的に足りていないので、採用にもっと力を入れていきたいんですよね。
ーーどんな方を求めていますか?
安藤さん:toCのサービスを成長させることに興味があるなら、REXITは面白い環境だとは自信を持って言えます。プラットフォームとして全方向に向き合い、結婚式という文化をより良くしていくことは簡単ではありません。強い想いを持った方々と一緒に、より自由な結婚式を一つでも増やしていきたいですね。
Recruit Information
インターネットとリアルサービスを掛け合わせ、ブライダル業界の構造を改革し 、結婚式であふれた世界を創るメンバーを募集しています。
Webプロデューサー、ディレクター
Webデザイナー
その他の募集については下記よりご確認ください。
REXIT Webサイト:https://rexit.co.jp/
PROFILE
安藤 正樹
2003年京都大学法学部卒業。2001年より創業メンバーとして参画している株式会社ドリコム(インターネット関連事業) で、営業担当取締役として、新規事業の立上げ、事業拡大、営業部門のマネジメント全般を担当し、東証マザーズ上場に貢献する。 2009年4月、株式会社エスクリ(ブライダル事業) に入社し、東証マザーズ上場を経験後、結婚式場の責任者、マーケティング部門の責任者を経て、取締役事業本部長に就任し、東証一部指定替えに貢献する。その後、常務取締役として事業部門を管掌し、結婚式場30施設、内製部門、新規事業、HRを統括し、売上262億円/ 社員数1023名の規模(連結)へと成長させた。2016年5月、株式会社リクシィを創業。
PROFILE
神田 裕子
専門式場にてウエディングプランナーを経験後、2012年 大手ブライダル企業に入社。同年、社内賞を受賞。エキスパート職を経てマネージャーに転向し、全社集会での接客指導/新卒研修講師、プランナー育成、4店舗の立ち上げに携わる。ウエディングプランナーとしては10年間で約1000組のお客様を担当。2016年7月、株式会社リクシィにパートナーとして参画。
<CREDIT>
Interviewee:Masaki Ando(REXIT), Yuko Kanda(REXIT)
Editor / Writer / Interviewer:Naoki Takahashi
Photographer:Kei Ito
Producer / Account Executive:Yuki Yoshida (BAUS)
Project Manager :Yuuka Shimizu (BAUS)