【演出からのご挨拶】
今回、茨城でサラ・ケイン作「4時48分サイコシス」を上演します。
作者のサラ・ケインは1995年にデビューした劇作家で、99年に自殺しています。「4時48分サイコシス」は彼女の遺作で、2000年に初演を迎えました。
この作品は、死を選ぶ直前の彼女が向き合っていた鬱と錯乱を書き残したものなのだと思います。彼女を死へと追いやった鬱と錯乱を解釈し舞台の上で再現すること、その鬱と錯乱を観客とともに目撃すること、それが演出の目標です。その場を、つまりサラ・ケインの思考を共有することを通じて、読者・観客である私たちの直面する困難に向き合うことができるのではないかと思います。
今回、茨城県龍ケ崎市の倉庫という場所や伴奏付きのリーディングパフォーマンスという上演形式、演劇の経験者が少ない座組を選び、無料での公演にこだわったことには理由があります。大学を卒業して、それまで使っていた稽古場と劇場がなくなり、 観客でありしばしば共同制作者でもあった人たちのコミュニティから(少なくとも地理的には)遠く離れてみて、そのような状況でパフォーミングアーツのようなものに関わり続けていくにはどうすればいいのかを考えた結果がこの公演です。プロを目指すのではなくアマチュアとして、ライフワークとしてのパフォーミングアーツを目指しています。
個人的には、アートは生きるために不可欠なもののような気がしていて「4時48分サイコシス」は誰よりも私が必要としている作品です。もし、観客のなかにもこの作品を必要としている人がいて、私たちがそれを提供できたなら嬉しく思います。
CREDIT
- 演出 :
-
Yuta Minakawa
- 脚本 :
-
サラケイン
- キャスト :
-
武田 望
田邊 さとみ
鷲田 悠 - 音楽 :
-
並木 大亮
松尾 沙織 - 照明 :
-
小野 彩水
- 撮影 :
-
皆川 拓哉