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共創型クリエイションから生まれるコミュニティ〜TRUNKER’S NEXT PROJECT vol.1の軌跡〜

TRUNKER’S NEXT PROJECT vol.1

TRUNK(HOTEL)が仕掛ける、次世代クリエイターを巻き込んだコミュニティ創出プロジェクト「TRUNKER’S NEXT PROJECT」が、2018年9月から約2ヶ月に渡り実施された。公募から選ばれた若手クリエイター10名が、社内クリエイティブチームのデザイナー陣によるメンタリングのもと、TRUNK(STRORE)で販売されるオリジナルグッズを企画し、優れたアイデアは実際に商品化されるというものだ。参加者とメンターの共創によって数々のアイディアが生まれた本プロジェクトには、これからのクリエイティブの“つくり方”のヒントが垣間見えた。その全貌をレポートしよう。

TRUNKER’S NEXT PROJECTとは

2017年5月に誕生して以来、東京のニューカルチャーの発信源として瞬く間に国内外から注目を集める場となったTRUNK(HOTEL)。「ソーシャライジング」という独創的なコンセプトを掲げ、新しい社会貢献のスタイルを生み出すコミュニティハブとして連日連夜賑わいを見せている。

だが、人気の秘訣はそのコンセプトだけではない。雑誌『GINZA』の元アートディレクター平林奈緒美さんによるロゴデザイン、国内外で多数の建築賞受賞歴を誇るMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOによる建築デザイン監修など、社内のクリエイティブチーム(以下、TRUNKアトリエ)と社外のクリエイターがコラボすることで実現させた高いクリエイティビティに下支えされていることも大きな要因だ。

そんなTRUNK(HOTEL)は、さらに新たなクリエイティブの風を取り入れるべく、「TRUNKER’S NEXT PROJECT」を始動。(詳細な開催背景についてはこちら)25歳以下のクリエイターとTRUNKアトリエのメンバーが共創することを通じて、TRUNK(HOTEL)と若手クリエイターを繋ぐコミュニティ創出を狙ったプロジェクトだ。今年の9月1日~10月28日にかけて実施された第一弾プログラムでは、「ソーシャライジングをテーマにしたオリジナル商品の企画」が行われた。

今回参加したのは、ポートフォリオによる書類選考を通過した6名の学生クリエイターと4名の社会人クリエイター。25歳以下という点は共通ながら、武蔵野美術大学、多摩美術大学、といった現役美大生、慶應義塾大学の大学院生、フリーランスデザイナー、フォトグラファーなど多様なメンバーが集うこととなった。

メンバーは、TRUNKアトリエの3人のデザイナーによるメンタリングのもと、2回のワークショップと事前プレゼンを経て、10月28日に企画アイディアを最終プレゼンした。では、2ヶ月をかけて、具体的にどういった方法でアイディアを熟成させていったのだろうか?本記事ではプログラムの全体像を4つのフェーズに分けてレポートする。

STEP1.テーマのインストール

「ソーシャライジング」というTRUNK(HOTEL)の思想を咀嚼した上で商品企画を行う本プロジェクト。プロジェクト初日には、コアとなるソーシャライジングの理解を深めるオリエンテーションが行われた。緊張した面持ちでTRUNK(HOTEL)のスイートルームに集合したメンバーを前に、取締役 人事部部長の市川裕秀さんが口火を切り、ホテル設立の経緯やメンバーへ期待することが語られた。

「TRUNKアトリエと外部クリエイターの共創によって、クオリティの高いものを実現することができたと思っています。」と立ち上げ時を振り返る市川さん。次第に前のめりになって引き込まれてくメンバーに向かって、「特に皆さんはこれから無限大の可能性を秘めたある種の“卵”クリエイター。TRUNK(HOTEL)はまだまだ高いクリエイティブを求めていますので、今回をスタートに長い付き合いになればという期待感を持っています」と語りかけた。

次に、TURNKアトリエの山岡重信さん、柴田優さん、関根将吾さんから、ソーシャライジングをどのようにホテル内のクリエイティブに反映させているのかプレゼンテーションが行われた。廃棄ガラスを再利用して作られたグラスや、紡績工場で出た不均一な糸や落ち綿を生地にしたリサイクルコットンTシャツ、100%国産のオーガニック素材からつくられたシャンプーなど、TRUNK(STORE)で実際に販売されている商品を手に取りながらそこに込められたストーリーが紹介されていく。

ソーシャライジングの意味するところを掴み始めた様子のメンバーに対し、関根さんから重要なアドバイスが。「利用者が無理しない形で社会貢献できるものを作って行きたいと思っていますが、大前提として、それが“グッドテイスト”であることが必要だと考えています」。グッドテイストとは、センスの良いデザインやストーリーをプロダクトに含んでいること。TRUNK(HOTEL)に並ぶ商品は、社会貢献の文脈を抜きに市場に出回る他の商品と比較しても、充分満足してもらえるハイクオリティなものに仕上げられているのだ。プレゼン後にはTRUNK(STORE)見学の時間も設けられ、コンセプトとクオリエティを両立させている商品に触れて理解度を深めていった。

STEP2.アイディアの発酵

テーマのインプット後には、3チームに分かれ、それぞれが理解したソーシャライジングを共有し合うワークショップが行われた。議論が行き詰まるとメンターが間に入って一緒にディスカッションする光景も見られ、メンターとメンバーが一体になりながら、徐々にテーマの解像度が上がっていく。2時間半が経過したところで、チーム毎に議論した内容を発表。「消費者が無意識に社会とつながる」「循環型の社会に参加する」「個人も社会もWinWinなもの」といったワードが上がり、各々がソーシャライジングを自分の中で消化したようだった。「自分の身の回りにある問題点をリサーチしてみようと思いました」という声も聞かれ、企画考案に向けて動き出した様子がうかがえた。

初日のワークショップ終了後には、スイートルームのテラスにてBBQを実施。それぞれが参加した理由や、普段行っている活動について語り合いながら親睦を深める。思わぬところで共通の知り合いがいたりと、同世代同士で共鳴するポイントを見つけながらメンバー同士の繋がりが生まれていく。

そして、3週間を挟んで行われた第2回ワークショップでは、それぞれが企画の種を3案持ち寄り発表。メンバー同士のフィードバックタイムも設けられ、ここで出た意見が企画をブラッシュアアップさせた例もあった。逆に、「他の子の発表を見て、正直焦りました。気合を入れ直してもっといい企画をつくろうと思います」と語るメンバーもおり、お互いに刺激を与えながら企画考案にドライブがかかっていく。

STEP3.実現化に向けたブラッシュアップ

2回目のワークショップが終了し、最終発表まで残すところ約一ヶ月。ここからはアイディアの的を絞りながら、実現化の強度を高める期間だ。商品を製造する工場のリサーチ、想定ユーザーへの聞き込みなど、企画アイディアをブラッシュアップさせていく。特に、実現化という点では、経験豊富なメンター陣とのコミュニケーションで気づきを得ることが多かったようだ。

類似商品の紹介や、製造工程、価格設定についてのアドバイスに加え、「その企画はソーシャライジングを体現しているのか?」というそもそも論に立ち戻ったディスカッションも行われた。また、TRUNKアトリエ以外の部署のスタッフを紹介してもらい、現場に赴くことでアップデートされていくアイディアもあった。

STEP4.最終発表

プログラム開始から約2ヶ月後の10月28日。メンバーが再びTRUNK(HOTEL)のスイートルームに集まり、企画の最終プレゼンが行われた。事前に与えられたミッションは「企画アイディアを自由な形式でプレゼンする」というものだったが、実際に商品のプロトタイプを作成してきたメンバーも多く、かなり具体性を増したアイディアが次々と発表された。TRUNKアトリエの山岡さんが「2ヶ月間みんなの頑張りを近くで見てきただけに、とても頭を悩ませました」と語るほど審査は難航したが、最終的に7チームの中から2組のアイディアが選ばれた。

1組目は、七條友紀さん(多摩美術大学4年)による「La vie」。TRUNK(HOTEL)内のウエディング会場を彩る花〝装花〟が、会場を彩り終えた後も美しい状態を保っていることに目をつけたアイディアだ。装花を透明なマニキュア液で満たされたボトルに入れて色素を抽出することで、花色のマニキュアとして楽しめる可愛らしいアイテムに生まれ変わらせた。華麗なビジュアルにあわせて 、役目を終えたウエディングの装花が形を変えて再び多くの人に幸せを届けるという、花のアップサイクルシステムが埋め込まれている点も高い評価を得た。

2組目は、永田優太朗さん(広告代理店コピーライター)と巻嶋翔さん(フリーランスフォトグラファー)チームによる「DON’T OLLIE」。渋谷のカルチャーにおけるアイコン的存在でもある「スケーター」をずっと悩ませてきたシューズを頻繁に買い換えなければいけないという課題に挑んだもの。OLLIEという基本トリックによって片方のシューズの側面が摩耗し、もう片方は履けるにもかかわらず早ければ一ヶ月も経たないうちにシューズを買い換える必要が常にスケーターにはつきまとっていると言うそこで、まだ履ける片方のシューズを回収し、履けるもの同士を組み合わせてデザインを加えたのち、新たなブランドとして販売したりスニーカーブランドにシューズの片足販売を提案するという斬新なアイディアだ。

結果を受けて悔しそうな表情を見せるメンバーもいるなか、プログラムを総括して、市川さんから「2ヶ月を通じて、コミュニティをつくるという当初の目的は達成できたのではないかと思っています。TRUNK(HOTEL)はまだまだクリエイターの力を必要としています。今回の結果にかかわらず、皆さんとは引き続きコミュニケーションを取らせていただければと思っていますのでよろしくお願いします。」という言葉が投げかけられた。

共創の真髄と、コミュニティの未来図

「共創型プロジェクト」と謳った本プログラム。実際、選ばれた2組はメンバーやメンターとの会話の中でアップデートされたアイディアに基づくものだった。
La vieは、当初花から抽出したネイル液だけをボトルに詰めて販売するアイディアだったが、メンバーから「花びらをボトルに入れて色素を抽出している写真がとても綺麗だったので、花を入れたまま売るのはどうなんだろう?」という提案があり、インテリアとしても使用できそうなデザイン案に行き着いた。
「DON’T OLLIE」も、当初は回収して再利用するというプランのみだったが、「片足だけで売るっていうのがあってもいいんじゃない。」というメンバーの一言や、「既存のスニーカーブランドもブランディングという観点では乗ってくれる可能性もある」というメンター関根さんとの会話を経て、プランが補強された。

こうした共創を通じて、メンバー、メンターを含む“参加者”同士のネットワークも育まれた。プロジェクト終了後には、「今回の参加者には様々な職能の人が集まっていたので、第一期生として何か協力してグループワーク的な活動をしてみたいです」「クリエイター同士の繋がりや、TRUNKアトリエのメンター含め、一線で活躍されている方とのセッションができたことが大きな経験になった」と語るメンバーも。

2ヶ月に渡る共創を通じて形成されたTRUNK(HOTEL)と次世代クリエイターのコミュニティ。第一弾は幕を閉じる形となったが、引き続いて第二弾も計画中だそう。これからのクリエイティブの“つくり方”の指針にもなりそうな「TRUNKER’S NEXT PROJECT」の続編に期待したい。

<CREDITS>

UNDER25 CREATOR
稲垣雄史
上野凛
王淑君
内田大司
梶川裕太郎
七條友紀
永田優太朗
本坊健一郎
巻嶋翔
柳澤星良 

REVIEW MEMBER
山岡重信 TRUNKアトリエ  アートディレクター (mentor)
柴田優  TRUNKアトリエ  デザイナー (mentor)
関根将吾 TRUNKアトリエ  空間ディレクター (mentor)
田中宏枝 取締役 TRUNKアトリエ クリエイティブディレクター
市川裕秀 取締役 人事部部長
竹前隆浩 TRUNK(STORE)マネージャー

PRODUCTION
TRUNK(HOTEL)
Morphing Inc.

写真・今井駿介、佐藤佑基 (KRK PRODUCE INC.) 編集/文・市村光治良

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